イライザ・タルカット

イライザ・タルカット：教育と信仰に捧げた生涯

イライザ・タルカット（1836年5月22日 - 1911年11月1日）は、明治時代の日本において、教育と伝道に生涯を捧げたアメリカ人宣教師・教育者です。アメリカ合衆国コネチカット州ヴァノン出身で、神戸女学院の前身となる女学校（通称「神戸ホーム」）を設立したことで知られています。

生い立ちと教育

1836年、タルカットはコネチカット州ヴァノン・ロックビルの紡績工場経営者の家庭に生まれました。両親は熱心なプロテスタントであり、信仰深い家庭環境で育ちました。ミス・ポーター女学校を卒業後、同校で助教師を務めます。しかし、2年後に母の逝去により帰郷し、妹の世話をすることになります。妹も夭逝したため、母方の実家である叔父ウィリアム・ブル宅に身を寄せ、ニューブリテン州立師範学校（現・Central Connecticut State University）に入学。1857年に同校を卒業後、州内の私立学校やニューブリテン・ハイスクールで教鞭を執りました。

日本へ

教師を辞めた後、タルカットは叔母の看病に専念します。1872年秋、アメリカン・ボードからトルコに派遣された宣教師の帰国報告会に出席したことがきっかけで、宣教師になることを決意。アメリカン・ボード最初の独身女性宣教師として、日本へ派遣されることになりました。

1873年3月、タルカットはジュリア・ダッドレーとともに神戸に到着。伝道活動を行う傍ら、婦人たちの要望に応え、同年秋にダッドレーとともに民家を借りて私塾を開設しました。1875年10月12日には、旧三田藩主九鬼隆義らの支援とアメリカン・ボードの承認を得て、ダッドレーとともに神戸・諏訪山の麓に「女學校」（通称「神戸ホーム」、後の神戸女学院）を創立し、校長に就任しました。

中国地方での活動

1880年に神戸女学院の校長を辞任後、タルカットは岡山を拠点に中国地方・四国地方を巡る伝道活動に奔走します。特に鳥取県鳥取市には長期滞在し、鳥取教会を拠点に活動、1887年には鳥取英和女学校を設立しました。アメリカン・ボードの宣教師ジョージ・ローランドも協力しましたが、女学校は財政難のため15年で閉校となりました。

その後

1895年の日清戦争勃発時には、広島で傷病兵の看護にあたりました。天然痘やコレラに感染した患者の看病も行いましたが、自身もコレラに感染。治療のため一時帰国を余儀なくされます。ハワイでの伝道活動を経て、1902年に再び来日。ダッドレーが設立した神戸女子伝道学校（後の聖和大学）で教鞭をとりながら、伝道活動を続けました。

1911年11月1日、タルカットは神戸でその生涯を閉じました。11月4日には神戸女学院講堂で葬儀が執り行われ、神戸女学院はタルカットの誕生日を「創立者記念日」と定め、毎年この日に神戸市立外国人墓地で墓前礼拝を行っています。

イライザ・タルカットの生涯は、教育と信仰への深い献身を示すものであり、彼女が設立に尽力した神戸女学院は、現在もその精神を受け継ぎ、多くの人材を輩出し続けています。

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