イラクの文化

イラクは、古代メソポタミア文明が栄えた地であり、その歴史は世界でも有数の古さを誇ります。シュメール、バビロニア、アッシリアといった古代文明が興り、文字、車輪などの発明がなされました。8～9世紀にはアッバース朝の首都としてバグダードが繁栄し、世界有数の文化都市となりました。

文化

イラクの文化は、アラブ世界の中でも際立って質が高いことで知られています。詩、絵画、彫刻などの芸術分野では、世界的に評価される作品も多く生まれています。また、ラグやカーペットなどの工芸品も有名です。建築においては、バグダードの壮大な都市景観に古代と現代の建築様式が混在しています。イラクはイスラム教以前から独自の文化を育んでおり、その伝統は現代にも受け継がれています。

建築

バグダードには、歴史的な建築物と現代的な建築物が混在しています。戦争で破壊されたものも多いですが、古代の遺跡や精巧な建築物が今も残っています。

映画

イラクでは映画製作も行われており、国内の映画館で上映されています。イラク戦争後の復興の中で、映画文化も再興されつつあります。

文学

イラクでは詩や文学作品が盛んに創作されており、アラブ文学の中でも重要な位置を占めています。多くの作家や詩人がイラクの文化や歴史を題材にした作品を発表しています。

音楽

イラクの伝統音楽は、ウード、フルート、ヴァイオリン、ドラム、タンバリンなどの楽器で演奏されます。近年では、ポップミュージックやヒップホップなど、幅広いジャンルの音楽も人気があります。クルスムやファイルーズといった女性歌手は、その美しい歌声でイラクの人々から愛されています。

スポーツ

サッカーはイラクで最も人気のあるスポーツです。イラク戦争後の復興期には、サッカーが国民の連帯感を構築する要素として重要視されました。バスケットボール、水泳、重量挙げ、ボディビル、ボクシング、キックボクシング、テニスなども人気があります。イラクサッカー協会は1948年に設立され、FIFAやAFCに加盟しています。2007年のAFCアジアカップでは、イラク代表が優勝を果たしました。

料理

イラク料理は、1万年以上前のメソポタミア時代から続く長い歴史を持っています。古代遺跡からは、祭祀で使われたレシピを記した粘土板が見つかっており、世界最古の料理本とされています。アッバース朝時代にはバグダードが首都となり、イラク料理は大きく発展しました。現代のイラク料理は、近隣のペルシア、トルコ、シリアの料理の影響を受けつつ、伝統的なスタイルを守っています。

食事はメッザと呼ばれる前菜やサラダから始まり、ケバブ、シャワルマ、バーミアー、クジー、ファラフェル、クッバ、マスグーフ、マクルバなどが代表的な料理です。ドルマなどの詰め物料理も人気があります。イラクは北部と南部で気候が異なるため、料理にもその違いが現れています。北部ではコムギやリンゴ、核果などが栽培され、南部では米やオオムギ、シトラスフルーツ、デーツなどが栽培されてきました。

現代文化

イラクにはイスラム教関連の文化遺産が多く、イラク文化の広い範囲に影響を与えています。ティーハウスはイラクの生活に欠かせないものであり、午後の休憩時間にはお茶を飲みながら談笑する習慣があります。イラクの子供たちは、クルアーンを正しく読めるようになることが重要視されており、暗唱できる者は「ハーフィズ」として讃えられます。結婚や誕生は、イラクの人々にとって大きな意味を持ちます。結婚式には多くの人が参加し、結婚は両家の推薦によって行われることもあります。イラクの人々は、先祖や親を敬う傾向があり、公共の場で年長者に無礼を働くことは不名誉とみなされます。また、左手は不浄なものとして扱われ、食事や挨拶には右手を使う習慣があります。寛大さはイラクの文化において重要な価値観であり、困っている人を助けることが大切にされています。

文化施設

バグダードには、イラク国立交響楽団、イラク国立劇場などの重要な文化機関があります。イラク国立劇場はイラク戦争で被害を受けましたが、復旧が進められています。1990年代には、外国映画の輸入制限によりライブシアターが発展し、多くの劇場が作られました。また、バグダードには、音楽学校、美術学校、バレエ学校、イラク国立博物館などの文化施設があります。イラク国立博物館には、世界有数のメソポタミア文明の遺物が展示されていましたが、イラク戦争中に略奪されたものも多くあります。

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