イワサザイ科

イワサザイ科の概要

イワサザイ科（Acanthisittidae）は、鳥類のスズメ目の中で唯一の科である。この科には非常に特徴的な鳥が含まれており、全ての種がニュージーランドに固有だ。イワサザイ科は一般に「イワサザイ」と総称されることが多く、「サザイ」という名は古くからの名称であるミソサザイに由来している。そのため、英語では New Zealand Wren として知られているが、実際にはミソサザイ科とは近縁関係にはない。

特徴

イワサザイ科の鳥は、その体長が約8〜10センチメートルであり、小型である。特徴的なのは短い尾と翼で、脚は比較的長く、細くて真っ直ぐな尖った嘴を持つ。これらの鳥は主に森林や灌木林で生活し、地面や樹上で昆虫や蜘蛛を食べることが多い。また、巣は岩や樹幹の裂け目に作ることがあり、特にその巣作りの様子は興味深い。さらに、鳴管が両気管支に存在し、内在筋がないという特異な特徴も持っている。この構造は他の多くの鳥には見られず、タイランチョウ類の一部にも類似の特徴が見られる。

系統と分類

イワサザイ科はスズメ目の中で最初に分岐したと考えられており、スズメ亜目やタイランチョウ亜目とは姉妹群にあたる。現在は、単独でイワサザイ亜目（Acanthisitti）に分類されている。19世紀の半ばから、この科は亜鳴禽類（現在のタイランチョウ亜目）に分類されることがあったが、1970年代からの研究により、鳴禽類（スズメ亜目）に近いとされるさまざまな説が現れた。

特に、Forbes（1882年）はその鳴管の特徴から亜鳴禽類と考え、Furbringer（1888年）やPycraft（1906年）も同様の見解を示した。1980年代にはDNAの交雑法を用いた研究が行われ、イワサザイ科がタイランチョウ亜目に含まれる可能性が再度示唆された。Sibleyと彼の同僚たちは、この科をほかのスズメ目の鳥たちと包括的に比較し、系統関係の詳細を明らかにしようとした。

現在の理解

一方で、Sibley（1970年）は卵白タンパク質の電気泳動の結果から、イワサザイ科が亜鳴禽類ではなく、鳴禽類に近いと示した。Feduccia（1977年）は鐙骨の特徴に基づき、イワサザイ科をスズメ目に含め、後に自身の見解を変更した。これらの研究を経て、イワサザイ科は現在、多くの分類学者によってスズメ亜目に分類されている。

種の多様性

イワサザイ科には、現在2属4種が分類されているが、そのうち2種は近代に絶滅してしまったため、現存するのは2属2種のみである。この中には、Acanthisitta属に属するミドリイワサザイ（Acanthisitta chloris）と、Xenicus属に属するイワサザイ（Xenicus gilviventris）などが含まれる。さらに、絶滅した種にはヤブサザイ（†Xenicus longipes）やスチーフンイワサザイ（†Xenicus lyalli）などがある。

イワサザイ科は、その独自の進化の過程と特性から、ニュージーランドの自然環境における重要な一部を形成している。彼らの未来には多くの課題が待ち受けているが、その保存と研究が進めば、彼らの生態や進化の秘密がさらに明らかになることを期待されている。

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