インジゴカルミン

インジゴカルミンについて

概要

インジゴカルミン（Indigo carmine）は、紫がかった青色を持つ合成着色料で、食用タール色素の一種です。青色2号とも呼ばれ、食品衛生法に基づき食品添加物として認可されています。この色素は通常、常温で暗紫青の粒状または粉末の状態で存在し、無臭です。しかし、熱や光、塩基に弱く、比較的容易に還元される特性があります。工業的には、インディゴに濃硫酸や発煙硫酸を加え、スルホン化反応を通じて精製されます。

医療での役割

効能と使用法

インジゴカルミンは、医療において特定の診断および治療用途で幅広く活用されています。主な用途は以下の通りです：

腎機能検査

腎機能の評価において、インジゴカルミンは静脈から投与されます。この後、膀胱鏡を使用して、左右の腎臓からの初回尿排泄にかかる時間を計測します。これにより、左右の腎機能の差異を評価できますが、近年では画像検査が普及しているため、実施頻度は減少傾向にあります。

センチネルリンパ節の同定

悪性腫瘍の治療において、特に乳癌や悪性黒色腫の場合、センチネルリンパ節の同定が重要です。インジゴカルミンは、乳癌の場合、通常20mg（5mL以下）を腫瘍周囲や乳輪部の皮下に分割して投与します。悪性黒色腫では、4〜12mg（1〜3mL）を皮内に投与することが推奨されます。

色素内視鏡検査

内視鏡検査においてもインジゴカルミンは利用され、上部消化管や大腸の病変部位が視覚的に明確に区分されるため、病変の特定が容易になるといったメリットがあります。

検出液としての活用

インジゴカルミンの水溶液は、還元剤として亜ジチオン酸ナトリウムと反応すると、無色または薄い黄色の還元体に変化します。この還元体は酸化しやすく、酸素の存在下では再び青色に変わる性質があるため、酸素の検出にも利用されます。また、pH値によって色が変わる特性も持っており、pHが11.4以下では青色、13.0以上の強アルカリ性下では黄色を示すため、pH指示薬としての応用も広がっています。

着色料としての使用

インジゴカルミンは、主に食品添加物や工業製品での着色に使用されます。特に、他の色素では出せない独特の紫青色が特徴であり、料理やお菓子、特にチョコレートや和菓子などに多く見られます。しかし、2025年4月22日に、アメリカ食品医薬品局（FDA）は、インジゴカルミンを含む数種の着色料の段階的廃止を発表しました。この取り組みによって、2026年末には食品業界での使用が排除される見込みです。

結論

このように、インジゴカルミンは医療だけでなく、食品業界でも重要な役割を果たしていますが、使用を取り巻く環境は今後変化していく可能性があります。

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