インドにおける仏教の衰退

インドにおける仏教の衰退

インドは仏教の発祥の地であり、その影響は古代から広範囲に及んでいました。しかし、19世紀末までに仏教徒の人口は1%にも満たなくなりました。その理由は多岐にわたり、歴史的背景を知ることでその過程が浮き彫りになります。

仏教の成長と黄金時代

仏教は紀元前5世紀の創始から堅実に発展しました。特に、アショーカ王の治世である紀元前3世紀には国家宗教として認められ、多くの寺院や僧院が建設され、広く信奉されました。この時期、仏教徒は特に中央アジアや中国大陸へと拡大し、その教えはさまざまな文化に影響を与えました。

衰退の始まり

しかし、グプタ朝以降の時代に入ると、仏教は次第に衰退の道をたどります。特に白フン族による侵攻や、法顕や玄奘などの中国僧侶の旅行記にも見られるように、仏教徒の共同体は孤立し、崩壊していきました。パーラ朝の崩壊後、イスラム勢力が徐々にインドに侵入し、仏教に対する敵対感が強まる中、仏教徒の地位は脆弱となります。

外的要因と内部の変化

膨大な支持を持っていた仏教徒も多くは禁欲的な共同体内に留まり、社会的なネットワークが確立されなかったことも衰退の原因となりました。また、インドの伝統的な宗教であるブラフマニズムが台頭し、仏教との競争が激化。グプタ朝時代の一時的な回帰を除けば、仏教徒は次第にその信仰を失っていきました。特にシュンガ朝の時代、王プシャミトラが仏教を敵視したことも大きな影響を及ぼしました。

存続と復興の兆し

東ベンガルやネパールでは、古代以来少数の信徒が存続しているものの、大規模な仏教コミュニティは19世紀にはほとんど絶滅しました。しかし、近代に入るとアナガーリカ・ダルマパーラやダライ・ラマ14世などの活動により、仏教の復興が見られるようになりました。特にアンベードカルを通じて、不可触民が仏教に帰依する運動が広まり、以降多くの信者が増加しました。

現代における仏教

現在、インドにおける仏教徒は約1.5億人と推定され、自治区や地域で新たな共同体が形成されています。特にダラムサラはチベット仏教の中心地として知られ、国際的な仏教徒の集まりや行事が行われています。そして、インド社会において不可触民の平等を求める運動が続いています。

結論

仏教はインドの文化や歴史において重要な役割を果たしましたが、外部要因や内部の変化により大きな衰退を経験しました。しかし、近年の復興運動により、新たな生命を得ているとも言えます。今後の動向が注目される中で、仏教がインド社会内でどのように位置付けられるかが問われています。

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