インドラヴァルマン2世

インドラヴァルマン2世 (在位: 1220年頃 - 1243年)

インドラヴァルマン2世は、クメール王朝の第22代君主として知られています。父はジャヤーヴァルマン7世、母はインドラデーヴィーであり、王子時代にはラヴォ（現在のロッブリー県）の総督を務めていた可能性が指摘されています。

治世と業績

1220年頃に父王の崩御を受け即位したインドラヴァルマン2世は、先代のジャヤーヴァルマン7世の政策を継承し、彼が建立した仏教寺院の拡張と完成に尽力しました。しかし、ジャヤーヴァルマン7世の時代からの財政難は深刻であり、その影響はインドラヴァルマン2世の治世にも及んでいます。

外交と領土の縮小

財政難を背景に、クメールの勢力は衰退しました。1220年には、1190年以来支配下にあったチャンパのアンシャラージャ（ジャヤ・パラメーシュヴァラヴァルマン2世）が独立。さらに1238年には、スコータイ王朝のバーンクラーンハーオ（シーインタラーティット）も独立を果たし、クメールの領土は縮小の一途を辿りました。

近年の研究による再評価

しかし、2000年代以降の発掘調査の結果から、インドラヴァルマン2世の治世下においても、クメールは相応の繁栄を維持していたとする見解も出てきています。また、インドラヴァルマン2世自身も、優れた実力と行動力を持った君主であった可能性も指摘されています。従来の評価とは異なり、彼の治世を再評価する動きがみられます。

まとめ

インドラヴァルマン2世の治世は、寺院の拡張といった文化的な側面と、領土の縮小や財政難といった政治的な側面が混在していました。近年の研究により、彼の治世に対する理解が深まりつつあり、今後の研究の進展が期待されています。

参考文献

George Cœdès (May 1, 1968). Walter F. Vella. ed. The Indianized States of South-East Asia. Susan Brown Cowing. trans. University of Hawaii Press. ISBN 978-0824803681
レイ・タン・コイ 著、石澤良昭 訳『東南アジア史』（増補新版）白水社〈文庫クセジュ〉、2000年4月30日。ISBN 978-4560058268。
石澤良昭『アンコール・王たちの物語 碑文・発掘成果から読み解く』NHK出版〈NHKブックス〉、2005年7月30日。ISBN 978-4140910344。
石澤良昭「アンコール王朝史の新局面」『東南アジア －歴史と文化－』第2002巻第31号、2002年、3-26頁。
迫田龍 著「アンコール遺跡&シェムリアップ」、上野光人 編『ララチッタ アンコールワット・ホーチミン』JTBパブリッシング、2015年4月1日。ISBN 978-4533104220。
迫田龍 著「カンボジア文化講座」、大橋圭子 編『るるぶアンコールワット』JTBパブリッシング、2015年9月30日。ISBN 978-4533106668。

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