ウィリアム・ファーラー・スミス

ウィリアム・ファーラー・スミスの生涯

ウィリアム・ファーラー・スミス（1824年2月17日 - 1903年2月28日）は、アメリカの土木技師、警察委員、そして南北戦争における北軍の将軍として知られています。彼はその多才さで、様々な分野で顕著な功績を残しました。

初期の経歴

スミスは、バーモント州セントオールバンズでアシュベルとサラ・バトラー・スミスの息子として生まれました。彼の友人からは「ボールディ」という愛称で親しまれていました。地元の教育を受けた後、1841年にウェストポイントの陸軍士官学校に入学。1845年に卒業し、地形学工兵隊に配属されました。在学中は常に上位の成績を収め、その才能を早くから発揮していました。工兵隊では、五大湖、テキサス州、アリゾナ州、フロリダ州、さらにはメキシコの測量に従事。この間、フロリダでマラリアに罹患し、完治したものの、その後の健康に影響を及ぼしました。1856年からはミシガン州デトロイトを拠点に灯台の仕事に携わり、最終的には灯台局の技師局長を務めました。

南北戦争での活躍

南北戦争が開戦すると、スミスはアービン・マクドウェル准将の参謀として参加。その後、第1バーモント旅団の編成を支援し、1861年8月13日に北軍の准将に指名されました。七日間の戦いでは、ホワイトオーク湿地の戦いでの勇敢さが評価され、正規軍の名誉中佐に昇進。1862年7月4日には、北軍の少将に昇進しました。アンティータムの戦いでも師団を率いて目覚ましい活躍を見せ、再度名誉昇進を果たしました。しかし、その後のフレデリックスバーグの戦いでは、軍団指揮官として参加したものの、結果は惨憺たるものでした。

フレデリックスバーグの戦後、責任追及が行われ、当時の軍指揮官であるアンブローズ・バーンサイド少将が上級士官の解任を提案しましたが、エイブラハム・リンカーン大統領がこれを阻止。しかし、スミスは、バーンサイドの欠点について直接リンカーンに話をしたことや、支持を失っていたジョージ・マクレランと親しい友人であったことが影響し、軍団指揮官の地位と階級の両方を失いました。少将の指名は上院で確認されず、1863年3月4日に失効。スミスは准将に戻されました。ゲティスバーグ方面作戦では、ペンシルベニア州サスケハナ方面軍で師団サイズの民兵隊を指揮し、カーライルの戦いで南軍のJ・E・B・スチュアートの部隊を撃退。その後、ウェストバージニア州の師団指揮官に任命されました。

1863年10月3日、スミスはカンバーランド軍（後にミシシッピ地域軍）の技師長に就任。ウォーハッチーの戦いでは、工兵の作業を指揮し、「クラッカー・ライン」と呼ばれる補給線を確立。チャタヌーガで包囲されていた北軍への物資と援軍の輸送に成功しました。この功績により、合衆国下院軍事問題委員会は、「W・F・スミス将軍はカンバーランド軍を捕捉されることから救い、その後の勝利に結びつけた」と報告。この活躍が評価され、スミスは再び志願兵の少将に指名されました。ユリシーズ・グラントの強い後押しもあり、1864年3月9日に上院で承認されました。

1864年のオーバーランド方面作戦では、グラントによってベンジャミン・バトラーのジェームズ軍第18軍団指揮官に任命され、コールドハーバーの戦いとピーターズバーグに対する最初の作戦を指揮しました。しかし、コールドハーバーでの大敗の記憶から、徹底的な偵察を行ったものの、その後の攻撃が遅延。その躊躇が、戦争を1年近く短縮する機会を逃した一因になったとも言われています。1864年7月19日、スミスは第18軍団指揮官を解任され、戦争の残りの期間は「特別任務」で過ごしました。

戦後

スミスは1865年に志願兵従軍を辞め、1867年にアメリカ陸軍から除隊しました。その後、1864年から1873年まで国際電信会社の社長、1875年から1881年までニューヨーク州警察委員会に勤務し、1877年には総監に就任しました。1881年以降は、ペンシルベニア州で土木工事に携わりました。1903年にフィラデルフィアで死去。アーリントン国立墓地に埋葬されています。彼の自叙伝『ウィリアム・F・スミス将軍の自叙伝、1861年-1864年』は、1990年に死後出版されました。

スミスの生涯は、軍人としての卓越した能力だけでなく、土木技師や経営者としての才能も併せ持っていたことを示しています。彼の残した功績は、今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。

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