ウェストミンスター信仰告白

ウェストミンスター信仰告白とは

ウェストミンスター信仰告白（Westminster Confession of Faith）は、17世紀にイングランドで作成された、カルヴァン主義神学の伝統に立つ信仰告白です。イングランド国教会の改革を目指し、ウェストミンスター会議で起草されましたが、スコットランド教会でも採用され、長老派教会を中心に広く受け入れられています。この信仰告白は、聖書に従属する教理基準として、世界中の教会で用いられてきました。

歴史的背景

1640年代のイングランドは、内戦の時代でした。議会は、チャールズ1世に対抗するため、スコットランドのカヴェナンターと同盟を結びました。この同盟関係の中で、イングランド国教会の改革が求められ、ウェストミンスター会議が召集されました。会議には、ピューリタンの牧師たちが参加し、教会の礼拝、教理、政治、戒規について検討しました。

スコットランド教会は、すでに主教制を廃止し、長老制を採用していました。イングランドもスコットランドとの同盟関係を維持するために、カルヴァン派の教理と礼拝を採用する必要がありました。ウェストミンスター信仰告白は、このような状況下で作成され、イングランドとスコットランドの両教会で承認されました。

しかし、王政復古により、一時的に信仰告白の効力は失われました。その後、名誉革命を経て、ウィリアム3世の時代に再び承認されました。

内容

ウェストミンスター信仰告白は、カルヴァン主義神学を体系的にまとめたものです。三位一体、キリストの贖罪、聖書のみ、信仰のみといったプロテスタントの基本的な教理を告白しています。さらに、二重予定説、アダムの契約、救いの確信、礼拝の原則、安息日の厳守など、カルヴァン主義特有の教えも含まれています。

また、ローマ教皇を反キリストとみなし、カトリック教会のミサを偶像崇拝と断じています。ノン・クリスチャンとの結婚を禁じるなど、当時の社会情勢を反映した内容も含まれています。

聖書観

ウェストミンスター信仰告白の聖書観は、カルヴァンに代表される宗教改革の聖書観を継承しています。聖書を神の言葉として絶対的な権威を持つものとして捉え、信仰と生活の唯一の規範とします。古プリンストン神学のウォーフィールドは、ウェストミンスターの聖書観を、カルヴァンの聖書観、聖書自身の聖書観、キリストの聖書観と同一視しました。

一方で、E・A・ダウイ2世は、ウェストミンスターの聖書観が正統主義に由来すると主張しています。しかし、岡田稔は、ウェストミンスター信仰告白の聖書観は、カルヴァンが作成したフランス信条と同一であることを指摘しています。

日本における受容

日本においては、つのぶえ社からウェストミンスター信仰告白の解説書が刊行されました。また、矢内昭二による「ウエストミンスター信仰告白講義解」も出版されており、研究が進められています。この信仰告白は、日本の長老派教会においても重要な教理文書として尊重されています。

まとめ

ウェストミンスター信仰告白は、カルヴァン主義神学の核心を体系的に示した重要な文書です。その歴史的背景、神学的立場、そして日本における受容を通して、この信仰告白が今日まで多くの教会に影響を与えていることがわかります。信仰告白は、聖書の教えを理解するための重要な手引きであり、キリスト教信仰を深める上で欠かせない存在です。

参考文献

『ウェストミンスター信仰告白』一麦出版社
『ウェストミンスター信仰基準』新教出版社
『ウェストミンスター信仰規準』一麦出版社
E・E・ケアンズ著『基督教全史』聖書図書刊行会
岡田稔著『岡田稔著作集』いのちのことば社

関連項目

長老派教会

外部リンク

Westminster Confession of Faith A.D. 1647 （根拠聖句付き） （英語）（ラテン語）
ウェストミンスター信仰基準 日本キリスト改革派教会訳 （日本語）

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