ウオッカ (競走馬)

ウオッカ：伝説の牝馬、その輝かしい軌跡

ウオッカ（2004年4月4日 - 2019年4月1日）は、日本の競馬史にその名を深く刻んだ名牝です。彼女は、数々の記録を打ち立て、競馬ファンを魅了し続けました。ここでは、ウオッカの誕生から引退、そして繁殖牝馬としての生涯を辿り、その偉業を振り返ります。

誕生からデビューまで

ウオッカの母、タニノシスターは、シラオキの血を引く繁殖牝馬でした。父はルション。谷水雄三によって見出され、「タニノ」の冠名で知られるタニノシスターは、競走馬としてデビューし、桜花賞にも出走するなど、33戦5勝の成績を残しました。引退後、タニノシスターはカントリー牧場で繁殖牝馬となり、2003年には、同じく谷水が所有するタニノギムレットと交配されました。2004年4月4日、カントリー牧場で誕生した鹿毛の牝馬、それが後のウオッカです。

幼い頃から、ウオッカは他の牝馬とは異なる輝きを放っていました。調教が進むにつれてその才能は開花し、2歳時には、年上の馬を相手に互角以上の走りを見せるほどに成長しました。馬主である谷水は、父タニノギムレットにちなみ、ジンをベースとするカクテル「ギムレット」から連想し、より強い酒である「ウォッカ」を馬名に採用しました。「タニノギムレットよりも強くなってほしい」という願いが込められたその名は、彼女の運命を象徴しているかのようです。

競走馬時代

2歳（2006年）

角居勝彦厩舎に入厩したウオッカは、その高い能力から周囲の期待を集めました。デビュー戦となった京都競馬場の新馬戦では、鮫島克也騎手を背に、2番人気に応えて見事勝利。続く黄菊賞では2着に敗れますが、そのポテンシャルの高さを示しました。そして、12月3日の阪神ジュベナイルフィリーズ（GI）では、11.1倍の4番人気ながら、直線で驚異的な末脚を発揮し、アストンマーチャンを差し切って優勝。2歳女王の座に輝きました。この勝利は、2歳芝1600メートルの日本レコードを更新するものであり、彼女の才能を強く印象付けました。

3歳（2007年）

3歳になったウオッカは、桜花賞トライアルのチューリップ賞を制し、桜花賞へ駒を進めます。しかし、本番の桜花賞ではダイワスカーレットに敗れ、2着に終わりました。

その後、ウオッカは牝馬二冠目のオークスには向かわず、東京優駿（日本ダービー）への挑戦を決意します。この決断は、大きな話題を呼びました。1996年のビワハイジ以来11年ぶりとなる牝馬のダービー挑戦であり、多くの競馬ファンがその挑戦を見守りました。そして5月27日、ウオッカは四位洋文騎手を背に、東京優駿に出走。10.5倍の3番人気に支持された彼女は、レースで素晴らしい走りを見せ、アサクサキングスを3馬身差で突き放し、見事優勝を果たしました。この勝利は、1937年のヒサトモ以来、64年ぶり史上3頭目の牝馬によるダービー制覇という快挙でした。また、史上初の父娘同一GI級競走制覇、父娘東京優駿制覇という記録も達成し、競馬史にその名を刻みました。

4歳（2008年）

4歳になったウオッカは、安田記念で1年ぶりの勝利を飾ると、秋には天皇賞（秋）に出走。ダイワスカーレットとの激しい競り合いを制し、GI4勝目を挙げました。この勝利は、史上初の牝馬による牡馬混合GI級競走3勝という記録にもなりました。年末には、JRA賞年度代表馬に選出され、その年の競馬界を代表する存在となりました。

5-6歳（2009-10年）

5歳になったウオッカは、ヴィクトリアマイル、安田記念を連勝し、その強さを見せつけます。特に安田記念では、進路を失いかける不利を乗り越えての勝利であり、彼女の底力を見せつけるものでした。さらに、秋にはジャパンカップに出走。クリストフ・ルメール騎手を新たに迎え、見事優勝を果たしました。この勝利は、牝馬として史上初のジャパンカップ制覇であり、彼女の偉業に新たな1ページを加えました。

2010年、6歳となったウオッカは、ドバイワールドカップを目指しましたが、鼻出血のため断念。現役引退となりました。

繁殖牝馬時代

引退後、ウオッカはアイルランドで繁殖牝馬となりました。初年度はシーザスターズと交配され、その後もフランケルなど、世界的な種牡馬との間に7頭の仔を産みました。産駒からは、タニノアーバンシーやタニノフランケルといった活躍馬も現れましたが、2019年4月1日、蹄葉炎のため安楽死の措置がとられました。15歳という若さでの死は、多くの競馬ファンを悲しませました。

偉大なライバル、ダイワスカーレット

ウオッカを語る上で欠かせないのが、同じ2004年生まれの名牝、ダイワスカーレットの存在です。桜花賞、秋華賞、天皇賞（秋）など、数々のレースで激しい競り合いを繰り広げ、競馬ファンを熱狂させました。

東京競馬場との絆

ウオッカは、東京競馬場との相性が抜群でした。東京競馬場では12戦6勝、GI6勝を挙げ、「東京巧者」「府中の申し子」と呼ばれました。東京競馬場には彼女の銅像が建立され、その功績を称えられています。

競馬ファンを魅了したスターホース

ウオッカは、その圧倒的な強さと美しい姿で、多くの競馬ファンを魅了しました。彼女のレースには多くの女性ファンが詰めかけ、その勝利に涙を流す姿も見られました。ウオッカは、競馬界のスターホースとして、これからも語り継がれていくでしょう。

彼女の蹄跡は、競馬ファンにとって永遠の宝物です。

主なライバル

ダイワスカーレット
ディープスカイ

レース戦績

netkeiba.comやJBISサーチを参照してください。

血統

祖母エナジートウショウの産駒にスリーアベニューがいます。シラオキの血統です。

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