ウクライナ空軍

ウクライナ空軍

ウクライナ空軍（ウクライナ語: Повітряні Сили України）は、ウクライナの空軍組織です。2005年に従来の空軍と防空軍が統合して発足しました。司令部はウクライナ西部のヴィーンヌィツャに置かれています。

概要

1991年8月24日にウクライナがソ連から独立し、翌1992年3月17日に空軍組織としてウクライナ空軍が創設されました。ソ連時代には、空軍の他に防空軍、海軍航空隊、陸軍航空隊が存在していましたが、2004年に防空軍は空軍へ統合されました。海軍航空隊や陸軍航空隊は現在も独自の機材を装備し、独立した運用がなされています。航空機を装備する組織としては他に国境警備隊と国家親衛隊があります。

機材

ウクライナ空軍は、独立時に現地に置かれていたソ連空軍の機材をそのまま受け継ぎました。そのため、当初は大型の爆撃機も保有していましたが、維持が困難な機体は解体され、一部はロシアに引き取られました。現在運用されている主な機体は、輸送機（An-26、An-72）、戦闘機（MiG-29、Su-27）、爆撃機・偵察機（Su-24、Su-25）、ヘリコプター（Mi-26、Mi-8）、練習機（L-39）などです。

ウクライナは航空産業が発達しており、機体の維持や近代化改修、新造機の製作や新型機の開発を国内で行っています。また、経済混乱により退役を余儀なくされた余剰機体の輸出にも力を入れてきました。

現況

独立後の経済混乱は空軍に深刻な影響を与え、パイロットの訓練時間減少や機材の老朽化が問題となっています。しかし、2000年代に入ると経済状況は改善し、空軍の近代化計画も発表されました。NATO加盟を見据え、NATO標準の敵味方識別装置の導入や、機材の近代化を進めています。ただし、ロシアの干渉も懸念されており、計画の遂行には不透明な要素も残っています。

2015年以降は、ロシアによるクリミア編入やウクライナ紛争の影響で、空軍は厳しい状況に置かれています。2022年のロシアによるウクライナ侵攻では、アントノフ国際空港の戦いでAn-225が破壊され、多くの機体が失われました。しかし、西側諸国からの支援を受け、F-16戦闘機の供与も決定しており、戦力強化が期待されています。

組織

ウクライナ空軍は、西部、中部、南部、東部の4個航空管区と空軍司令部直轄部隊で構成されています。

空軍司令部直轄部隊

第7戦術航空旅団
第299戦術航空旅団
第15輸送航空旅団
第25輸送航空旅団
第456輸送航空旅団
第383独立遠隔操縦機旅団

西部航空管区（リヴィウ）

第114戦術航空旅団
第204戦術航空旅団
第11高射ミサイル連隊
第223高射ミサイル連隊
第540高射ミサイル連隊
第1電波技術旅団

中部航空管区（ヴァスィリキーウ）

第39戦術航空旅団
第40戦術航空旅団
第831戦術航空旅団
第96高射ミサイル旅団
第156高射ミサイル連隊
第138電波技術旅団

南部航空管区（オデッサ）

第160高射ミサイル旅団
第201高射ミサイル旅団
第208高射ミサイル旅団
第14電波技術旅団

東部航空管区（ドニプロ）

第138高射ミサイル旅団
第225高射ミサイル連隊
第301高射ミサイル連隊
第302高射ミサイル連隊
第164電波技術旅団

訓練・研究機関

ハリコフ国立空軍大学
第203訓練航空旅団
第202下士官訓練センター
第38統合基礎訓練センター
無人航空機訓練センター
ムィコラーイウ戦闘用航空機搭乗員訓練センター
第41空軍基礎訓練センター
ウクライナ軍国立科学試験評価センター
コロニーロフ空軍研究所

整備部門

リヴィウ航空機修理工場
ザポリージャ航空機修理工場「ミグレモント」
コノトープ航空機修理工場「アヴィアコン」
ムィコラーイウ航空機修理工場

国籍識別標

ウクライナ空軍の国籍識別標は、ウクライナ人民共和国時代のものを踏襲した青と黄のラウンデルを使用しています。また、垂直尾翼には国章の「トルィズーブ」が描かれています。

主な空軍基地所在地

キーウ州：キーウ・ボルィースピリ、ビーラ・ツェールクヴァ
ヴィーンヌィツャ州：ヴィーンヌィツャ
ポルタヴァ州：ポルターヴァ、ムィールホロド
オデッサ州：オデーサ
ジトーミル州：オゼールネ
クリミア自治共和国：サークィ、イェウパトーリヤ、ベリベク/セヴァストーポリ
ムィコラーイウ州：ヴォズネセンシク、ムィコラーイウ
ルハンシク州：ルハンシク
ザポリージャ州：ザポリージャ、メリトーポリ
イヴァーノ＝フランキーウシク州：イヴァーノ＝フランキーウシク
ヴォルィーニ州：ルーツィク
リウネ州：ドゥブノ
リヴィウ州：リヴィウ、ストルィーイ
チェルカースィ州：ウーマニ
スームスィカ州：スームィ
ドネツィク州：キーロウシケ

装備

ウクライナ空軍は、固定翼機、回転翼機、無人機、対空火器、弾薬類を保有しています。

固定翼機

An-24/26/30/32/70/72
Il-76MD
L-39
MiG-29
Su-24/25/27

無人機

Tu-141/143
バイラクタル TB2

回転翼機

Mi-8/9/24/26

対空火器

S-200/300
9K37M1

弾薬類

AAM: R-27, R-60, R-73
ASM: Kh-25, Kh-29
ARM: AGM-88 HARM, Kh-25MP, Kh-58
その他: MALD, SCALP EG, Storm Shadow, JDAM-ER, MAM-C/-L

展示飛行チーム

ウクライナでは、過去に「ウクライィーンスィキ・ソーコルィ」（Ukrainian Falcons）などの展示飛行チームが活動していました。

歴代司令官

（省略）

関連項目

ウクライナ海軍航空隊
ウクライナ陸軍航空隊
ウクライナ防空軍
ウクライナ人民共和国航空隊
ウクライナ・ハルィチナー軍航空隊
ウクライナ国航空隊
ソ連空軍
ソ連防空軍
旧東側の空軍組織
キーウの幽霊

外部リンク

ウクライナ国防省公式サイト
ウクライナ空軍基地の所在地
* ウクライナ空軍基地を含むソ連空軍基地の所在地

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