ウトナイ湖

ウトナイ湖について

ウトナイ湖（ウトナイこ）は、北海道苫小牧市の東部に位置する淡水湖であり、周囲には豊かな自然環境が広がっています。この湖は、安平川水系の勇払川中流部にあり、面積約275ヘクタール、湖岸は約9キロ[[メートル]]にわたります。湖の周辺には多くの低湿地があり、弁天沼をはじめとする様々な沼が点在しています。

自然環境

ウトナイ湖は、水生植物が豊富で、タヌキモやヒシなどが生育しています。湖の周囲にはマコモやヨシの群落、さらにはハンノキ林が広がっており、これが多様な生態系を形成する要因となっています。また、この湖は250種以上の鳥類が観察される場所でもあり、特に渡り鳥の中継地として重要な役割を果たしています。2020年には、タンチョウが約130年ぶりに雛を育てる姿が確認され、話題を呼びました。

ウトナイ湖は1981年に日本野鳥の会によって日本初のバードサンクチュアリとして指定され、その後、国ともに保護区域として位置づけられました。さらに1991年にはラムサール条約の登録湿地にも選ばれ、その重要性が認識されています。

水環境と管理

かつては美々川と勇払川が合流する地点が湖の下流にあったため、湖への流入や流出はすべて美々川が担っていました。しかし、1994年から1997年にかけて行われた河道切替工事により、湖への流入経路が変わりました。これにより、市街地からの水流が調整され、湖の水位が安定することが目指されました。

しかし、現状では湖周辺の乾燥化が深刻な問題となっています。1960年代には平均水位が2.3メートルだったのに対し、1977年には1.6メートルまで低下しました。生態系にも変化が見られるようになり、水位の調整が求められるようになりました。現在、北海道庁は可動式のウトナイ堰を設置し、水位を約2メートルに保つための管理を行っています。

湖名の由来

ウトナイ湖の名前は、アイヌ語の「ウッナイト（utnay-to）」に由来し、こちらは「ウッナイの沼」を意味します。元々、この地域はアイヌ語で「キムウント（kim-un-to）」や「キムケト（kimke-to）」と呼ばれ、山にある沼として知られていました。しかし、背骨に例えて美々川の流れが肋骨のように見えたため、「ウッナイ」と名付けられました。

観光スポット

ウトナイ湖は観光地としても知られ、特にマガンやハクチョウが飛来する季節には、多くの観光客が訪れます。この地域には道の駅や野生鳥獣保護センター、サンクチュアリネイチャーセンターもあり、観察や教育的な活動が行われています。かつては温泉施設や遊園地もあったものの、現在は閉鎖されています。

交通アクセス

湖の西側には国道36号が通過しており、苫小牧市街から約25分、札幌市からは約90分でアクセスできます。また、道央自動車道の苫小牧東インターチェンジも近く、交通の便が良いです。公共交通機関としては、道南バスの「ウトナイ湖」停留所があり、苫小牧市中心部と新千歳空港を結ぶ路線バスも利用可能です。

ウトナイ湖は、その自然環境と生態系の保護の重要性から、今後も注目される場所であり、多くの人々に愛され続けるでしょう。

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