ウラジーミル・アンドレエヴィチ (スターリツァ公)

ウラジーミル・アンドレエヴィチ：悲劇の分領公

ウラジーミル・アンドレエヴィチ（1533年 - 1569年）は、イヴァン3世の孫にあたり、ロシア最後の分領公として知られています。彼の生涯は、イヴァン雷帝との複雑な関係と、オプリーチニナ体制下での悲劇的な運命によって特徴づけられます。セルゲイ・エイゼンシュテインの映画『イワン雷帝』にも、彼とイヴァン4世の葛藤が描かれています。

生涯

幼少期、ウラジーミルはモスクワで厳重な監視下に置かれました。1542年に父の死後、スターリツァとヴェレヤを相続し、最初の結婚もこの地で行いました。1553年、イヴァン4世が重病に倒れるまでは、比較的平穏な生活を送っていました。

しかし、イヴァン4世の病状が悪化すると、事態は急変します。大貴族たちは、当時1歳だったイヴァンの息子ドミトリーへの忠誠を拒否し、代わりにウラジーミルを後継者に推戴しようと画策しました。ところが、イヴァン4世は奇跡的に回復し、大貴族たちの裏切りを知ると、彼らへの態度を豹変させます。イヴァン4世はウラジーミルをモスクワに呼び寄せ、行動を厳しく制限しました。ウラジーミルは、少数の従者のみを伴い、ツァーリに仕える大貴族との接触を禁じられました。また、イヴァン4世が死去した場合には、幼い息子が後継者となり、ウラジーミルが摂政を務めるという取り決めがなされました。

イヴァン4世は、ウラジーミルの母親を修道院に強制的に入らせ、彼に仕える大貴族たちを追放することで、ようやくウラジーミルへの警戒を緩めました。1555年、ウラジーミルはツァーリの許可を得て、公女エウドキヤ・ロマノヴナ・オドエフスカヤと再婚しました。しかし、オプリーチニナ体制が始まると、イヴァン4世のウラジーミルに対する疑念が再び高まりました。1564年、オプリーチニキはモスクワにあったウラジーミルの邸宅を焼き払い、彼の所領の大部分を没収しました。

1569年、ウラジーミルはイヴァン4世に対する反逆を企てたという罪を着せられ、子供たちと共にアレクサンドロフの離宮で毒殺を強制されました。彼の妻と母はヴォログダ郊外の修道院に追放され、数年後に殺害されました。ウラジーミルとその子供たちの殺害は、リューリク朝の断絶を早め、動乱時代と呼ばれる王朝の危機を引き起こす一因となりました。ウラジーミルの娘マリヤは唯一生き残り、リヴォニア王マグヌスと結婚しましたが、夫の死後は修道院に入れられました。

ウラジーミル・アンドレエヴィチの生涯は、権力闘争の犠牲となった悲劇的な人物として、歴史に刻まれています。

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