エタノールアミン

エタノールアミン（モノエタノールアミン: MEA）とは

エタノールアミン、別名2-アミノエタノールまたはモノエタノールアミン（MEA）は、分子内にアミノ基とヒドロキシ基の両方を持つ有機化合物です。アミンとしての性質から、弱い塩基として作用します。無色で粘性のある液体であり、わずかにアンモニア臭がします。また、毒性、可燃性、腐食性も有しており、取り扱いには注意が必要です。屈折率は1.4539で、消防法では第4類危険物の第3石油類に分類されます。

一般に、ジエタノールアミン（DEA）やトリエタノールアミン（TEA）と区別する際には、モノエタノールアミンまたはMEAと呼称されます。工業的には、酸化エチレンとアンモニアを反応させることで製造され、さらに酸化エチレンが反応するとDEAやTEAが得られます。

生化学的には、エタノールアミンはリン脂質の構成成分として、細胞膜に豊富に見られます。

医薬品としてのエタノールアミン

エタノールアミンは、抗ヒスタミン薬の共通構造に見られるエチルアミン部分として重要です。具体的には、ジフェンヒドラミン（ドリエル）、フェニルトロキサミン（Percogesic）、ドキシラミン（Unisom）などの第一世代抗ヒスタミン薬に構造の一部として含まれています。

これらの第一世代抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状の緩和に有効ですが、血液脳関門を通過しやすく、強い鎮静作用（眠気）を引き起こすという副作用があります。そのため、近年では、第二世代抗ヒスタミン薬であるロラタジン（クラリチン）やフェキソフェナジン（アレグラ）などが開発され、処方されることが多くなっています。第二世代の抗ヒスタミン薬は、血液脳関門を通過しにくいため、眠気の副作用が少ないのが特徴です。

しかしながら、第一世代抗ヒスタミン薬の鎮静作用は、睡眠導入剤としての利用価値も高く、薬局や薬店で販売されているものもあります。

モノエタノールアミン(MEA)の工業利用

MEAは、酸性ガスの吸収剤として水溶液の形で広く利用されています。また、界面活性剤、乳化剤、研磨剤、医薬品原料、防食剤、化成品としても利用される多機能な化合物です。

特にガス洗浄の分野では、MEA[水]]溶液は都市ガスから酸性ガスを除去するのに不可欠な役割を果たしています。例えば、排ガス中の二酸化炭素]を除去する際にMEA[[水溶液が使用されます。MEA水溶液は、混合ガスから特定の成分を抽出するのに優れており、酸性のガス成分を中和することでイオン化させ、水溶液に溶解させることで効率的に除去します。

低温のMEA[水]]溶液は、極性が高く、非常に安定なため、酸性ガスを効率的に吸収します。ガス洗浄装置（スクラバ）では、MEA水溶液と混合ガスを接触させ、硫化水素(H2S)や二酸化炭素]などの[[酸性成分を選択的に除去します。MEA水溶液のようなアルカリ水溶液を使用することで、H2Sは硫化水素イオン(HS-)として、CO2は炭酸水素イオン(HCO3-)として水溶液中に捕捉されます。

MEA洗浄液の再生

MEAは弱塩基であるため、吸着したH2SやCO2を加熱によって再放出させることが可能です。この性質を利用して、使用済みのMEA洗浄液は再生装置に送られ、加熱によって酸性ガスを遊離させ、MEA溶液を再利用します。これにより、MEA洗浄液は繰り返し使用することができ、経済的かつ環境負荷の低減に貢献します。

関連化合物

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外部リンク

Safety MSDS data（英語）

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