エトロフウミスズメ

エトロフウミスズメ (択捉海雀)

エトロフウミスズメ（学名：Aethia cristatella）は、チドリ目ウミスズメ科に属する海鳥です。この種は主に北太平洋地域で見られ、特にオホーツク海やベーリング海に生息しています。特徴的な冠羽を持つその姿は、多くの自然愛好家にも親しまれています。

形態

エトロフウミスズメの体長はおおよそ25cmで、首とくちばしが短く、全体的にずんぐりとした体型をしています。額からは長い冠羽が突き出しており、目の後ろには細く白い飾り羽があります。小さな瞳と広い白い虹彩が特徴的です。全体は灰黒色の羽毛に覆われますが、腹部はやや明るい色合いをしています。季節によって羽の色が変わり、夏羽の時期にはくちばしが朱色になり、冠羽がふっくらとし、冬羽ではくちばしが褐色になります。若鳥は冠羽や白い飾り羽が見られないのが特徴です。

分布

エトロフウミスズメは、千島列島、アリューシャン列島、カムチャツカ半島、樺太周辺で繁殖しますが、日本国内では繁殖は見られません。冬季には北日本の海上に渡来し観察されますが、年によってその渡来数にはばらつきがあります。

生態

この鳥は水面で首を縮めて浮かんでいる姿がよく見られます。大きな群れを作る習性があり、数千羽に達することもあります。特に夜間には漁船の灯りに集まることがよく知られています。繁殖地では、海岸の崖にコロニーを形成し、ここでは独特の柑橘系の匂いが周囲に漂います。この繁殖地にはコウミスズメが混じることもしばしばあります。

食事は主に潜水して捕らえたプランクトン（ケンミジンコやオキアミ、小魚など）を中心にしています。生態系の中では、セグロカモメなどのカモメ類が天敵となりますが、彼らの捕食対象になることもあります。また、嗅覚を持つホッキョクギツネやワタリガラスも繁殖地における捕食者となり得ます。

保全状況評価

IUCNのレッドリストでは、エトロフウミスズメは「最も関心のない種（Least Concern）」に分類されています。これは、現在のところ大きな危険にさらされていないことを示しています。保護活動が進む中、彼らの生息環境が維持されることが重要です。

参考文献

• - 桐原政志『日本の鳥550 水辺の鳥』（文一総合出版、2000年）

関連項目

• - 日本の野鳥一覧

このように、エトロフウミスズメは北太平洋の海鳥として特異な存在を持ち、自然環境に適応した繁殖行動や食生活を営んでいます。今後の研究や観察を通じてさらに理解が深まることでしょう。

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