エニックスお家騒動

エニックスお家騒動とは

2001年、大手ゲーム会社エニックス（現スクウェア・エニックス・ホールディングス）のコミック部門で発生した、編集者の独立と人気漫画家の大量離脱劇「エニックスお家騒動」。

当時、出版事業部長であった保坂嘉弘氏や『月刊少年ガンガン』の編集長であった飯田義弘氏らが中心となり、新たな出版社マッグガーデンを設立。多くの人気作家を引き連れて独立したことが、この騒動の発端となりました。

同時期には、『月刊Gファンタジー』の編集長であった杉野庸介氏も一賽舎（現一迅社）を設立しており、こちらも騒動の一部として捉えられることがあります。

騒動の経緯

1990年代後半、『月刊少年ガンガン』を中心に「エニックス系」と呼ばれる作品群が人気を博していました。

しかし、雑誌の方向性を巡り編集部内で対立が発生。少年漫画中心への回帰を目指す動きが強まり、路線の変更が行われました。

こうした状況に不満を抱いた保坂氏らが、2001年6月にエニックスを退社し、マッグガーデンを設立。『月刊コミックブレイド』創刊の準備を進めます。

その後、飯田氏をはじめとするエニックス系の立役者たちが相次いで退社。

『月刊少年ガンガン』、『月刊ガンガンWING』、『月刊ステンシル』といったエニックス系列の雑誌では、人気連載の打ち切りが相次ぎ、特に多くの移籍者が出た『月刊ガンガンWING』では、連載作品の約8割が打ち切りとなる事態となりました。

法廷闘争、そして和解へ

マッグガーデンが『月刊コミックブレイド』の創刊に際し、エニックスで連載中だった作品の続編掲載を謳ったことから、エニックスはマッグガーデンの行為を「不当な引き抜き」であると主張。

マッグガーデンの発行差し止めを求める仮処分を東京地方裁判所に申請する事態に発展しました。

しかし、2002年3月には両者間で和解が成立。

エニックスはマッグガーデンの業務に干渉しないこと、エニックスがマッグガーデンの株式の一部を取得することなどが条件となりました。

騒動のその後

マッグガーデンは2003年に株式上場を果たし、エニックスは保有株を売却。上位株主から姿を消しました。

その後、マッグガーデンはProduction I.Gとの経営統合を経て、IGポートの傘下となり、上場廃止となっています。

一方、杉野庸介氏が設立した一賽舎は、スタジオDNAとの合併を経て一迅社となり、現在では講談社のグループ企業となっています。

移籍した主な漫画家

マッグガーデン

浅野りん
東まゆみ
天野こずえ
木下さくら
黒乃奈々絵
桜野みねね

一賽舎（一迅社）

峰倉かずや
遠藤海成
高河ゆん

エニックスに残った主な漫画家

渡辺道明
金田一蓮十郎
城平京
水野英多
藤原ここあ

まとめ

エニックスお家騒動は、出版業界における編集者と作家の関係、企業のあり方など、様々な問題を提起しました。

この騒動を機に、漫画家や編集者の独立、ウェブコミックの台頭など、業界の構造が大きく変化していくことになります。

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