エメラルドドラゴン

『エメラルドドラゴン』は、バショウハウスとグローディアが開発したコンピュータRPGです。1989年にPC-8801mkIISR版とPC-9801VM/UV以降版が発売され、その後X68000版、MSX2版、FM TOWNS版が発売されました。メディアワークスの主導により、PCエンジンやスーパーファミコンなどの家庭用ゲーム機にも移植されています。

ゲームシステム

本作は、グローディアの前作『サバッシュ』のシステムを受け継ぎ、広大なマップ、滑らかな画面スクロール、AIを使った戦闘システムなど、当時のPCゲームとしては最先端の技術が投入されました。一方で、味方が一人倒れると即ゲームオーバーになる、AIの思考ルーチンの甘さなど、未熟な点も特徴でした。このシステムは、『ヴェインドリーム』や『アルシャーク』へと改良されながら受け継がれました。

アイテムによってマップが表示されたり、謎解きのヒントが得られる「相談」コマンドが用意されているなど、ユーザーフレンドリーなシステムも特徴です。また、条件を満たすことで入れるサブシナリオや、機種限定のサブゲームも用意されています。

ストーリーを重視した作りのため、ゲームの自由度は高くなく、ノベルゲームのようにテキストを読み進める形式となっています。PC88版とPC98版には、回避方法を知らないとゲームが進行不能になるバグが存在しました。

パーティーの成長

アトルシャンとタムリン以外のキャラクターは、装備の変更は可能ですが、経験値の概念がありません。イベントで発生する入れ替わりによってパーティー全体の強さが向上していきます。そのため、長期参加しているキャラクターは、イベントで強化されない限り、相対的に弱くなってしまう傾向があります。

発売機種

X68000版以前の作品は、版権がバショウハウス、グローディア、ライトスタッフの3社に分断されるという複雑な状況になっています。PCエンジン版以降の作品はメディアワークスに統括されています。

PC-8801mkIISR以降版
開発：グローディア / 発売：バショウハウス / 発売日：1989年12月12日
6枚組FD。サウンドボードII対応。クリア不能になるバグが存在します。
PC-9801VM/UV以降版
開発：グローディア / 発売：バショウハウス / 発売日：1989年12月22日
3枚組FD。内容はPC88版とほぼ同等ですが、サウンドはPC-9801-26Kのみ対応。クリア不能になるバグが存在します。
X68000版
開発・発売：グローディア / 発売日：1990年12月6日
6枚組FD。ビジュアル関連は全面描き直しが行われ、バグもほぼ解消されています。
MSX2版
開発・発売：グローディア / 発売日：1990年12月26日
5枚組FD。機種性能によりスクロールが遅いですが、サブゲームのシューティングが削除された程度で、移植度は高いです。ワープロ内蔵機FS-4600Fでは不具合がありましたが、後に修正版が作成されました。
FM TOWNS版
開発・発売：グローディア / 発売日：1992年5月28日
1枚組FD+1枚組CD-ROM。CD-ROMの大容量を生かし、声優によるボイスが追加されています。
PCエンジン版
移植開発：アルファ・システム / 発売：NECホームエレクトロニクス / 発売日：1994年1月28日
1枚組CD-ROM。システム周りやAIの思考パターンなどが改善され、快適にプレイできます。声優によるボイスあり。
スーパーファミコン版
移植開発：アルファ・システム / 発売：メディアワークス / 発売日：1995年7月28日
1個組ROMカセット。ビジュアルシーンやマップなどが簡略化され、難易度も引き下げられています。サブシナリオも変更されています。豪華なボイスが特徴。

あらすじ

かつて人間とドラゴンが共存する聖地イシュ・バーンは、何者かの手により龍族への呪いがかけられ、ドラゴンたちは異次元の島「ドラゴン小国」へ移り住むことになります。

それから約2000年後、ドラゴン小国の海岸に人間の幼女タムリンが漂着します。タムリンはブルードラゴンのアトルシャンと共に育てられますが、やがて人間の世界で生きることを決意し、イシュ・バーンへと旅立ちます。

イシュ・バーンは、魔王ガルシアの率いる魔軍によって荒廃していました。タムリンはアトルシャンの角笛を吹き、彼を呼び寄せ、共に魔王討伐の旅に出ます。

登場キャラクター

アトルシャン：主人公の剣士。本来の姿はブルードラゴン。
タムリン：魔法使いの少女。ホルスの血を引く。
ハスラム：エルバードの王子。剣士。
ファルナ：ハスラムの侍女兼お目付け役。修道士。
バルソム：エルバード城の近衛兵だった剣士。
バギン：イシュ・バーンにその人ありと謳われたほどの魔道士。ファルナの父。
ホスロウ：レジスタンスの長。
ヤマン：ダードワの森に住む民の酋長の一人息子。弓使い。
カルシュワル：レジスタンスの一員。怪力の持ち主。
サオシュヤント：弓の英雄。
エメラルドドラゴン：かつてアヴェスタの力を封じた龍族の英雄。
オストラコン：魔将軍。元は人間。
ガルシア：魔王。

備考

グローディアのゲームソフト『サバッシュ』には、「ドラゴン小国」が登場します。

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