エンドサイトーシス

エンドサイトーシスとは

エンドサイトーシス（英: endocytosis）または飲食作用は、細胞が外部の物質を取り込むための重要なメカニズムです。このプロセスは、細胞膜の特性により、大きな分子や極性を持つ物質を取り入れる手段として機能します。エンドサイトーシスは、主に食作用（ファゴサイトーシス）と飲作用（ピノサイトーシス）に分けられます。これらのプロセスは、体内の恒常性を維持する上で欠かせない役割を果たしています。

エンドサイトーシスの過程

エンドサイトーシスが始まるのは、細胞膜上の受容体に特定の外部物質、すなわちリガンドが結合する時です。この受容体はクラスリンというタンパク質と関連しており、これが細胞膜上に窪みを形成します。リガンドとの結合により、窪みが深くなり、細胞質に陥入して被覆小胞を形成します。これが細胞膜から分離されると、初期エンドソームに融合し、内部は酸性環境となります。ここで受容体の一部は細胞膜に戻り、リガンドは酸性条件下でコンフォメーション変化により解離します。

その後、エンドソームは成熟し、リソソームと結合することで、取り込まれた物質の分解が行われます。この分解過程により、細胞内で再利用可能な栄養素や構成要素が得られます。

食作用と飲作用

食作用

食作用とは、細胞が大きな物体、例えば死細胞やバクテリアを取り込む過程を指します。細胞は対象物を包み込む大きな小胞を形成し、この小胞はリソソームに融合し、その内容物は加水分解酵素によって分解されます。特に白血球（好中球、単球、マクロファージなど）は食細胞と呼ばれ、この機構を通じて免疫システムの一端を担っています。これにより、異物を排除し、生体の恒常性が維持されます。

食作用の対象物は、適度な大きさ（数μm程度）であることや、表面の電荷や疎水性が重要な因子となります。このプロセスは非選択的であり、体内に侵入した異物を広く排除する機能を持っています。

飲作用

飲作用は細胞外液を細胞内に取り込むプロセスです。これは食作用とは異なり、すべてのタイプの細胞で行われています。飲作用は、細胞が必要とする水溶性栄養素を取り込む機構であり、細胞の生存に不可欠です。飲作用の具体的なメカニズムとしては、クラスリン介在性エンドサイトーシス、カベオラ介在性エンドサイトーシス、マクロピノサイトーシスが存在します。

病原体とエンドサイトーシス

エンドサイトーシス、とくに食作用は、体内の病原微生物を排除する重要な生体防御機構です。感染が始まると、好中球やマクロファージが微生物を貪食して排除します。さらに、マクロファージは貪食した異物の断片を細胞表面に提示し、ヘルパーT細胞を活性化する役割も果たしています。このプロセスは、より高度な免疫反応への橋渡しを行っています。

とはいえ、病原体は自らを守るために食作用から逃れる様々な方法を進化させてきました。また、特定のウイルスや細菌はエンドサイトーシスを利用して、宿主細胞に侵入することが知られています。ウイルスはエンベロープを持つかどうかにかかわらず、エンドサイトーシス経由で細胞に侵入します。

植物とエンドサイトーシス

植物細胞でもエンドサイトーシスは行われます。特に、水溶性の有機物を直接取り込むことが確認され、以前の考え方では不可能とされていたことが明らかになっています。植物細胞壁は水溶性物質を通す能力があるため、有機物が細胞膜に触れると切れ込みが生じ、有機物が細胞内に取り込まれることが可能になります。内に取り込まれた有機物は、酵素によって分解され、養分として利用されます。

このように、エンドサイトーシスは生物における多様な養分の取り込みや免疫防御に関わる重要なメカニズムとして位置づけられています。

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