エーグ＝モルト

エーグ＝モルト：歴史と自然が織りなすフランスの城壁都市

フランス、オクシタニー地域圏のガール県に位置するエーグ＝モルトは、ニームやモンペリエから比較的容易にアクセスできる魅力的な街です。その歴史は古く、ローマ時代から続く塩田の湿地帯にその起源を見出せます。

地理と地名

エーグ＝モルトは、標高の低い湿地とカマルグ地方の一部である池に囲まれた、独特の地理的条件を持つ土地です。隣接するル・グロ＝デュ＝ロワによってリオン湾から隔てられており、この湿地帯が町の名前の由来となっています。かつてはラテン語でAquae Mortuae（死んだ水）、オック語でAigas Mòrtasと呼ばれ、淀んだ水質を表す地名であったことがわかります。

歴史：ローマ時代から十字軍遠征の拠点まで

ローマ時代には、この地は「ペッカイス湿地」と呼ばれていました。791年には、カール大帝が漁民や製塩作業者の安全を確保するため、マタフェル塔を建設。これは、ニームのマニュ塔へ信号を送る情報伝達網の一部でもありました。この塔は後にベネディクト会修道院「プサルモディ」に寄進され、修道士たちは日夜賛美歌を歌い続けました。

13世紀、ルイ9世はこの地を戦略拠点と定め、修道士から土地を購入。湿地帯に道を建設し、カルボニエール塔、コンスタンス塔などの建造物を築き、都市防衛を強化しました。1272年には、フィリップ3世により、街全体を囲む城壁の建設が命じられ、30年以上の歳月を経て完成しました。

エーグ＝モルトは、ルイ9世が二度、聖地への十字軍遠征に出発した拠点となりました。1248年の第7回十字軍と1270年の第8回十字軍です。後者の遠征では、チュニスで没したとされていますが、死因は赤痢であったという説もあります。

フランス革命期には、町名は一時的に「ポール＝ペレティエ」に変更されましたが、その後、元のエーグ＝モルトに戻っています。

経済と観光

エーグ＝モルトの経済は、古くから塩田と密接に結びついてきました。現在でも製塩業は重要な産業の一つです。その他、ワイン生産、アスパラガス栽培、カマルグ馬やウシの飼育などが盛んで、特にカマルグ牛は、スペインの闘牛用ウシとは異なる体型と角の特徴を持っています。

13世紀から14世紀にかけて建造された中世の城壁は、多くの観光客を惹きつけ、エーグ＝モルトの重要な観光資源となっています。

交通

エーグ＝モルトは、ローヌ・ア・セット運河、ニーム-ル・グロ・デュ・ロワ線、A9、D-58、D-62、D-979などの道路網によって、周辺地域と良好な交通アクセスを有しています。

まとめ

エーグ＝モルトは、歴史、文化、自然が一体となった、フランス南部を代表する魅力的な街です。中世の城壁都市としての壮麗な景観、歴史に彩られた数々の建造物、そして独特の地理的条件が生み出すカマルグ地方の自然美は、訪れる人々を魅了し続けています。

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