オイラダイ・ハーン

オイラダイ・ハーン（1387年 - 1425年）は、北元（モンゴル帝国第25代皇帝）のハーンです。『蒙古源流』ではエセク・ハーンと表記されていますが、別人であるという指摘もあります。

生涯

1387年、四オイラトのケレヌート部族の出身として生まれました。15世紀初頭の北元は、明朝の圧迫と内部抗争によって衰退の一途をたどっていました。そのような状況下で、オイラト部は勢力を拡大し、北元の政局に大きな影響力を持つようになります。

1415年、ダルバク・ハーンが崩御したことで、オイラダイはハーンの座に就きました。彼は、先代ハーンの未亡人であるサムル公主を娶り、エセク・ハーンと名乗ったとされています。しかし、歴史学者の間では、このエセク・ハーンとオイラダイ・ハーンを同一人物と見なすか否かで意見が分かれています。

オイラダイ・ハーンは、オルジェイト妃子、アジャイ太子、アスト部のアルクタイ太師といった有力者を側近として重用しました。彼らを自身の勢力基盤に取り込むことで、ハーンとしての地位を安定させようとしました。しかし、その治世は長くは続きませんでした。

1425年、オイラダイ・ハーンは39歳という若さで崩御しました。彼の死後、オルク・テムル・ハーンの子であるアダイ・ハーンが即位し、北元のハーン位を継承しました。

オイラダイ・ハーンの評価

オイラダイ・ハーンは、北元が衰退していく中で、短期間ながらもハーンとして政権を担った人物です。四オイラトの勢力を背景に、北元の政局に関与し、一時的に権力を掌握しました。しかし、その治世は短く、北元の衰退を食い止めることはできませんでした。彼の死後、北元はさらに混乱を深め、最終的には滅亡へと向かうことになります。

オイラダイ・ハーンの評価は、歴史研究者によって異なります。一部の研究者は、彼を北元の再建を目指した有能な指導者として評価する一方で、他の研究者は、彼を四オイラトの傀儡に過ぎなかったと評価しています。いずれにせよ、オイラダイ・ハーンは、15世紀初頭の北元史における重要な人物の一人であることは間違いありません。

参考資料

* 岡田英弘訳注『蒙古源流』（刀水書房、2004年、ISBN 4887082436）

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