オゴニ

オゴニ（Ogoni）

ナイジェリア南東部、ニジェール・デルタ地域に暮らす先住民の一つ。その総人口は約50万人に上り、居住する土地はオゴニ、あるいはオゴニランドと呼ばれています。オゴニ社会は、タイ、ニョ＝カナ、ケン＝カナ、ゴカナ、バベという伝統的な五つの王国で構成されています。また、隣接するエレメ族とは歴史的に深い関係を持っています。

歴史

イギリスによる植民地支配が及ぶ以前、オゴニは独立した民族としての統治形態を持っていました。しかし、1901年以降にイギリス兵がオゴニ地域に進駐し、1914年まで抵抗が続きました。植民地行政の下では、1908年にオポボ地域に併合され、その後1947年に当時のリバーズ州へと区分が変更されました。1951年以降は東ナイジェリアの一部とされ、ナイジェリアの独立後もその状態が続きました。1967年に勃発したビアフラ戦争にも巻き込まれ、その後は再びリバーズ州に区分されています。

原油採掘とその影響

1956年、シェル社によってオゴニ地域で大規模な油田が発見され、1958年から原油の採掘が始まりました。しかし、長年にわたる操業はオゴニランドに深刻な環境破壊をもたらしました。度重なるオイル漏れ、ガスを燃焼させるフレアリング、そして爆発事故などにより、土地や水質は汚染され、人々の健康にも悪影響が出ました。さらに、原油採掘による莫大な収益が地域に適切に分配・還元されないこと、パイプライン敷設に対する補償が不十分であること、そして雇用においてオゴニ住民がほとんど採用されないことなど、経済的な不満も募っていきました。こうした状況に対するオゴニの人々の不満は高まっていたものの、1990年にケン・サロ＝ウィワ氏らが中心となり、「オゴニ人民生存運動（MOSOP）」を通じた共同体規模の運動が始まるまで、事態は真剣に受け止められませんでした。

抵抗運動と弾圧

1993年1月4日に開催された第三回オゴニ・デイでは、約30万人という大規模な行進が行われ、オゴニの人々の意思表示が強く示されました。これを受けて、シェル社はオゴニ地域での操業を一時的に停止しました。しかし、これと時を同じくして、軍事政権（ババンギダ政権、続くアバチャ政権）はシェルの「安全対策」と称する一時的「撤退」を名目に、軍の特殊治安部隊を投入し、オゴニの人々への逮捕と殺戮を開始しました。運動指導者であったケン・サロ＝ウィワ氏を含む多くのリーダーたちが繰り返し逮捕され、「断罪」され、処刑されました。オゴニの村々も襲撃され、推定で2,000人もの人々が殺害されたとされ、多くの住民がベナンなどへの国外脱出を余儀なくされました。これらの人権侵害に対し、軍事政権は英連邦から一時的な資格停止処分を受けましたが、国際社会からの直接的かつ効果的な制裁や対応は十分に行われませんでした。

シェル社はそれ以降、オゴニの人々の同意なくして操業を再開しないとしていますが、何度か再開を試みたとされています。弾圧から逃れたオゴニ難民の中には、アメリカ合衆国やカナダに移住した人々もいます。2005年4月には、アジップ社（ナイジェリア・アジップ・オイル社、NAOC）の油井近くにあった臨海の村が、アジップ社の設備増設を理由に破壊される事件も発生しました。この際も、少なくとも1人が殺害され、多くの住民が家を追われています。

地理

オゴニランドは、リバーズ州南東部に位置し、州都ポートハーコート市からはエレメ地区を挟んでさらに東側にあたります。北東辺をイモ川が南東方向へ流れ、その対岸にはオポボ地域が接しています。南側はアンドニ、オクリカ地区を挟んでギニア湾の一部であるボニー湾（旧ビアフラ湾）に面しており、沖合にはボニー島が浮かんでいます。地方行政区分としては、ゴカナ、カナ、タイ、エレメの四つの地方政府エリアにまたがる約156平方キロメートルの土地です。伝統的に、オゴニの人々の主な生業は漁業と農業でした。

言語

オゴニの人々は、ベヌエ＝コンゴ語派のクロスリバー諸語に属するオゴニ小語群の言語を話します。具体的には、カナ語、ゴカナ語、エレメ語、そしてテー語といった言語が使用されています。これらは互いに関連性があるものの、異なる言語とされています。

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