オバデヤ

オバデヤとは

オバデヤは、ヘブライ語で「ヤハウェが使役する」という意味を持つ男性名です。旧約聖書に登場する人物であり、特に『オバデヤ書』の筆者として最もよく知られています。この名前は「オバドヤ」とも転写されることがあります。

預言者オバデヤ

旧約聖書において、オバデヤは預言者として描かれており、『オバデヤ書』という短い書物が彼に帰せられています。この書物の年代は特定されておらず、そのため筆者についても二つの有力な説が存在します。

一つ目の説は、エルサレムがペリシテ人やアラブ人からの攻撃を受けた時期に書かれたとするもので、紀元前848年から840年の間と推定されています。二つ目の説は、バビロンのネブカドネザル2世によるエルサレム陥落の頃、すなわち紀元前586年前後とするものです。

オバデヤ書の筆者は、神を信じる者には勝利が与えられるという強い確信を持っていました。エドムは、苦難の時に隣人愛を欠いた存在として描写され、イスラエルの最終的な勝利が預言されています。

ラビ文学におけるオバデヤ像

タルムードでは、オバデヤはエドムからユダヤ教に改宗した人物であるとされています。また、彼はヨブの友人であるエリパズの子孫であり、列王記に登場するオバデヤと同一人物であるとも伝えられています。

オバデヤがエドムの滅亡を預言するために選ばれたのは、彼自身がエドム人であったからだと考えられています。列王記に登場するオバデヤは、アハブ王の高官であり、彼がアハブ王とその妃イゼベルの悪行を知らずに共に暮らしていたことから、エサウ（エドム）の滅びを告げるにふさわしいとされました。

オバデヤが預言の賜物を受けたのは、イゼベルの迫害を受けた100人の預言者たちを匿ったためだとされています。彼は預言者たちを二つの洞窟に隠し、一つが見つかってももう一つにいる者が逃れられるように配慮しました。

オバデヤは裕福な人物でしたが、その財産を貧しい預言者たちの支援に使い果たし、援助を続けるためにアハブの息子ヨラムから借金までしたと伝えられています。彼は神を畏れる人物として評価されており、アブラハムに匹敵するとも言われ、もしアハブの家に神の祝福があったとすれば、それはオバデヤのおかげであるとも言われています。

旧約聖書におけるその他のオバデヤ

旧約聖書には、預言者オバデヤ以外にも同名（オバドヤ、オバデヤ）の人物が登場します。

アハブ王の宮廷長（列王記18:3ほか）
ハナニヤの子で、ダビデ王とソロモン王の子孫（歴代誌上3:21）
イッサカル氏族のウジの子（歴代誌7:3）
アツェルの子で、サウル王とヨナタンの子孫（歴代誌上8:38）
レビ族のシェマヤの子（歴代誌上9:16）
ガド氏族出身でダビデ王の戦士（歴代誌上12:9,10）
ダビデ王の治世下でゼブルン氏族の指導者であったイシュマヤの父（歴代誌上27:19）
ユダ王国のヨシャファト王の高官（歴代誌下17:7）
ヨシヤ王の神殿再建で監督官を務めたレビ人（歴代誌下34:12）
書記エズラと共にバビロン捕囚から帰還したヨアブの子（エズラ記8:9）。ネヘミヤによるエルサレム再建後、城門の門番を務めたレビ人（ネヘミヤ記12:25）と同一人物である可能性がある。

これらの人物も、それぞれの時代や役割において重要な存在であったことが伺えます。

まとめ

オバデヤという名前は、旧約聖書において複数の人物に共有されていますが、中でも預言者オバデヤは『オバデヤ書』の筆者として、その名が広く知られています。彼の預言は、信仰を持つ者に勝利が約束されるという希望を与え、その生き方は後世のラビたちにも影響を与えました。また、同名の他の人物たちも、それぞれの役割を果たし、旧約聖書の歴史に名を刻んでいます。

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