オペル・アスコナ

アスコナ（Ascona）

アスコナは、ドイツの自動車メーカーオペルが製造した中型車であり、ゼネラルモーターズのドイツ法人に属しています。このモデルは1970年から1988年にかけて発売され、全3世代がラインナップされました。

歴史と概要

アスコナの初代モデルであるアスコナAは、1970年10月28日に発表され、オペルの他のモデルであるカデットとレコルトの中間に位置付けられました。この時期に、同じオペルの兄弟車両にあたるマンタも登場しました。アスコナAは2ドアおよび4ドアのセダン、さらには3ドアのステーションワゴンとして展開されました。一方、日本では「オペル・1604」という名称で輸入されましたが、国内の競争が激化したせいで、大きな販売実績を上げることはありませんでした。

次に登場したアスコナBは、1975年にフランクフルトモーターショーで発表され、英国ではボクスホール・キャバリエという名称で流通しました。このモデルは、さらなる洗練と改良が施され、オペルの成長を支える重要な役割を果たしました。

最後の世代であるアスコナCは、1981年にGMのJカープロジェクトの一環として発表されました。アスコナCは、姉妹車両がいすゞ・アスカであり、オペルの前輪駆動（FF）車両の中で1979年のカデットDに続くものとなりました。日本市場にも少量が輸入され、アスコナすべての世代が1988年にオペル・ベクトラへのモデルチェンジを受けて生産を終了しました。ボクスホール・キャバリエもベクトラに切り替えられましたが、この名称は1995年まで存続しました。

アスコナ400

アスコナシリーズの中でも特に目を引く存在がアスコナ400です。このモデルは、カデットGT/EのWRC参戦を基に開発されました。オペルのワークスチームであるGM・ユーロハンドラーの監督トニー・ホールの指揮のもと、Gr.2仕様のアスコナBを元に改良が加えられ、エアロパーツ装備やボディ強化などが行われました。また、アスコナ400には、オペルが初めて搭載したDOHC16バルブエンジンが搭載されています。

アスコナ400の発表は1979年11月で、400台のホモロゲーションモデルが製造されました。このエンジンは2.4リッターに排気量を拡大し、240hpを発生させることが可能です。ZF製5速ギアボックスとの組み合わせにより、非常に高い走行性能を誇りました。

WRCデビューは1980年のラリー・モンテカルロで、ドライバーのアンダー・クーラングにより4位入賞を果たしました。続くスウェディッシュ・ラリーでは見事に優勝し、サファリラリーでも良好な成績を収めるなど、アスコナ400はその実力を証明しました。1981年にはパブリモ・ビールのスポンサーを獲得し、更なるレース活動を続けましたが、シーズン中に状況が変化し、スポンサーやドライバーの変動が影響を及ぼしました。

1982年にはロスマンズをスポンサーに迎え、ドライバーとしてヴァルター・ロールとヘンリ・トイヴォネンが加わりました。彼らは数々の競技で優れた成績を残しました。ロールはオペルにとって初のドライバーズ・タイトルを獲得し、メイクスタイトルでもアウディに次ぐ2位でシーズンを終えることができました。

オペルはその後1983年から新たにグループB規定に合わせて、マンタをベースにしたマシンの開発を進めましたが、アスコナ400はその間も引き続き使用され、サファリラリーでの勝利を収めましました。

当時、アスコナ400は数多くの名場面を残し、自動車ラリー界においても強い存在感を示しました。今でも多くのファンに支持されているモデルです。

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