オホーツク水族館

オホーツク水族館：流氷の天使とラッコが彩った北の海

オホーツク水族館は、1956年から2002年まで北海道網走市に存在した水族館です。網走国定公園内の景勝地、二ッ岩海岸に位置し、オホーツク海を間近に感じられる立地でした。この水族館は、北方系の水生生物、特にオホーツク海に生息する生物を中心に展示していました。

施設概要

水族館には、シームレス回遊水槽をはじめとする25個の水槽があり、サケ、タラバガニ、オオカミウオ、フウセンウオなど約150種、約1万点の生物が展示されていました。また、海洋哺乳類の展示スペースも充実しており、アザラシ、ラッコ、トド、オットセイ、フンボルトペンギンなどが飼育されていました。特に、アザラシの餌付け体験は人気を集めていました。

1981年にはオットセイ館、1986年にはラッコ館がオープンし、これらの施設は、網走市や北海道庁からの補助金によって建設されました。さらに、水族館には遊園地も併設されており、メリーゴーランドや電車などの遊具が設置されていました。閉館後には、網走市内唯一の遊園地だったと惜しまれています。

また、水族館周辺は小説の舞台にもなっており、三浦綾子の『続氷点』や高橋揆一郎の『晩籟』に登場しています。二ツ岩海岸は、網走市民が鯉のぼりを掲げる場所としても知られています。

歴史

創設期

1951年頃から水族館設置の協議が始まり、1956年2月15日に「網走水族館設立期成会」が結成されました。同年6月1日、オホーツク水族館は日本で10番目の水族館として開館しました。経営は財団法人オホーツク水族館が行い、同年12月21日には博物館法による登録も完了しました。

拡大期

1979年には中国から褐馬鶏が、1981年にはオットセイが導入されました。1985年にはウーパールーパーの展示が人気を集めました。1989年には野生のトドが飼育場に侵入し、そのまま飼育されるという珍しい出来事もありました。

ラッコの飼育と繁殖

1986年、水族館は開館30周年記念事業としてラッコ館を建設しました。同年10月には、アメリカ・アラスカから4頭のラッコが搬入され、一般公開が開始されました。1987年にはラッコの繁殖に成功しましたが、生まれた仔は5日後に死亡しました。しかし、ラッコの人気は高く、水族館のシンボルとなりました。1988年、1989年、1990年にもラッコの繁殖に成功しました。中でも、1989年に生まれた「ラリー」は、世界で初めて人工哺育に成功したラッコとして知られています。

クリオネの展示

1990年代、網走市内の海岸でクリオネが発見されました。1993年、水族館はクリオネの飼育に世界で初めて成功し、「流氷の天使」というキャッチコピーで展示を開始しました。クリオネの通年展示は大きな話題を呼び、水族館の入館者数を増加させました。クリオネの人気にあやかり、関連グッズも多数販売されました。また、クリオネは記念切手やテレホンカードにもデザインされ、網走市の名物となりました。水族館は「流氷の天使クリオネ」などの商標登録も行いました。

その他の展示

2000年には、フウセンウオの孵化に日本で初めて成功しました。また、フンボルトペンギンの飼育も開始されました。しかし、ラッコが相次いで死亡し、最後の1頭となったマミーは繁殖のため他の水族館に移送されました。その後、ラッコ館にはコツメカワウソが導入されました。2001年には、北極海のクリオネが展示され、オホーツク海産との比較展示が行われました。

水族館の閉鎖

2000年以降、入館者数が減少し、施設の老朽化も進んだことから、2002年7月31日に財団法人オホーツク水族館は閉鎖を決定しました。同年8月31日、水族館は閉館し、飼育されていた動物たちは他の施設に譲渡されました。

飼育と繁殖の記録

オホーツク水族館は、様々な生物の飼育と繁殖に成功しました。1983年にはヒゴロモエビの餌付け飼育に、1987年からはラッコの繁殖に成功しました。また、イヌゴチ、オグロコンニャクウオ、ミズダコ、フウセンウオなどの繁殖にも成功しています。

保護の記録

水族館は、傷ついた野生動物の保護にも積極的に取り組んでいました。シャチ、ラッコ、シロフクロウ、オオハクチョウ、トド、ゴマフアザラシなどが保護され、治療や飼育の後、自然に帰されました。

社会貢献

水族館は、海遊館（大阪市）で開催された「オホーツク流氷ウイーク」に、クリオネやフウセンウオなどの展示協力をしました。

入館者数の記録

1974年には年間最高入館者数18万人を記録しましたが、1998年以降は入館者数が減少しました。2000年以降は10万人を割り込み、閉館の要因の一つとなりました。

閉館後の出来事

水族館の閉鎖後、2003年には本間保・元館長が死去されました。また、網走市の観光客は、水族館の閉館と流氷の減少によって大きく減少しました。

オホーツク水族館は、その短い歴史の中で、多くの人々に愛され、数々の記録を打ち立てました。特に、クリオネの展示は、世界中の人々に感動を与え、水族館の名を広めました。閉館は惜しまれますが、その功績は長く語り継がれることでしょう。

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