オルコラプトル

オルコラプトル：南アメリカ最南端の獣脚類

オルコラプトル( Orkoraptor)は、アルゼンチンのパタゴニア南部、セロ・フォルタレサ累層から発見された中型獣脚類恐竜です。この地域は、南アメリカ大陸で獣脚類恐竜の化石が発見された最南端にあたります。発見された化石は不完全な骨格で、部分的な頭蓋骨、歯、尾椎、脛骨などが含まれています。

特殊な歯と分類

オルコラプトルの最も注目すべき特徴は、その特殊化した歯です。歯には鋸歯がなく、断面が8の字型をしている点が、マニラプトル類、特にデイノニコサウルス類やコンプソグナトゥス科の恐竜と共通しています。この特徴から、当初はコエルロサウルス類に分類されました。しかし、他の骨格の特徴はコエルロサウルス類とは矛盾する部分も多く、分類は困難を極めました。

その後、オルコラプトルはメガラプトル類に分類されるようになりました。メガラプトル類は、中型から大型の獣脚類で、系統的な位置付けはアロサウルス上科やティラノサウルス上科と関連があると考えられています。オルコラプトルの後眼窩骨は、アエロステオンというメガラプトル類の恐竜と酷似しており、幼体のメガラプトルの歯とオルコラプトルの歯の類似性も指摘されています。しかし、メガラプトル類自体が系統的に曖昧なグループであるため、オルコラプトルの分類は依然として議論の的となっています。

大きさと推定体重

オルコラプトルの大きさは、推定で全長6～8.4メートル、体重500キログラム～1.4トンとされています。これは、研究者によって異なる推定値が提示されていることを示しています。化石の不完全さから、正確な大きさを決定することは難しいでしょう。

発見と地質年代

オルコラプトルの化石は、2001年に発掘されました。当初、化石はマーストリヒチアン期（約7200万年前～6600万年前）の地層から産出したとされました。しかし、後の研究で、セノマニアン期またはサントニアン期（約1億年前～約8980万年前）の地層から産出した可能性が指摘されています。オルコラプトルの化石が発見された地層は、様々な名称で呼ばれており、地質年代の特定にも混乱が見られます。

名前の由来

オルコラプトルという名前は、「歯のある川の泥棒」を意味します。属名 Orkoraptor の Orr-Korr は、化石が発見された場所の近くを流れるラ・レオナ川のテウェルチェ語名に由来しています。種小名は、化石の発掘に貢献したアマチュア古生物学者、コールマン・バーク氏に献名されています。

まとめ

オルコラプトルは、その特殊な歯、分類上の難しさ、そして南アメリカ最南端からの発見という点で、注目すべき獣脚類恐竜です。今後の研究により、その系統的位置や生態などがより明確になることが期待されます。依然として多くの謎が残されているオルコラプトルは、恐竜研究において重要な役割を果たす存在と言えるでしょう。

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