オレたちゲーセン族

PlayStation 2用ソフト『オレたちゲーセン族』シリーズ：懐かしさと問題点を抱えたレトロゲームコレクション

『オレたちゲーセン族』シリーズは、1980～90年代に一世を風靡したアーケードゲームを、PlayStation 2向けに単品移植したシリーズです。2005年から2007年にかけて、全19タイトルがハムスターより発売されました。当時、レトロゲームブームが到来する中、他社が複数のタイトルを1本に収録するのに対し、本シリーズは1タイトルに1ソフトという、こだわりの姿勢が特徴的でした。

キャッチコピーは「ウレシ、ハズカシ、ナツカシイ！」。税込み2,000円の価格設定と、ソフト本体に加え映像特典DVD、ゲームミュージックCD、公式ガイドブック、保存版インストラクションカード、解説書、コレクションカードという豪華7点セットという、ユーザーにとって魅力的なパッケージングが施されました。タイトル名も、人気テレビ番組『オレたちひょうきん族』を彷彿とさせるネーミングセンスが光っています。

開発はゴッチテクノロジー、M2、REAKOSYSの3社が担当し、作品によって開発元が異なります。ゴッチテクノロジーは、後にハムスターが展開するアーケードアーカイブスシリーズの開発にも携わっています。このシリーズでリリースされたタイトルは、その後全てアーケードアーカイブスで配信されることになります。

各タイトルと移植精度

シリーズは全6弾で構成され、各弾に収録されているタイトルは次の通りです。（カッコ内はオリジナル版の発売年とメーカー）

第1弾 (2005年7月21日)
スクラブル (1981年 コナミ)
クレイジー・クライマー (1980年 日本物産)
空手道 (1984年 テクノスジャパン/データイースト)
タイムパイロット (1982年 コナミ)
ムーンクレスタ (1980年 日本物産)
ソニックウィングス (1992年 ビデオシステム)

第2弾 (2005年10月27日)
バーガータイム (1982年 データイースト)
イー・アル・カンフー (1985年 コナミ)
スーパーバレーボール (1989年 ビデオシステム)
テラクレスタ (1985年 日本物産)

第3弾 (2006年1月26日)
クォース (1989年 コナミ)
熱血硬派くにおくん (1986年 テクノスジャパン)

第4弾 (2006年3月23日)
熱血高校ドッジボール部 (1987年 テクノスジャパン)
ラビオレプス (1987年 ビデオシステム)

第5弾 (2006年5月25日)
悪魔城ドラキュラ (1988年 コナミ)
魂斗羅 (1987年 コナミ)
プーヤン (1982年 コナミ)

第6弾 (2007年2月8日)
サンダークロス (1988年 コナミ)
* トリオ・ザ・パンチ (1990年 データイースト)

シリーズ全体としては、オリジナル版の忠実な再現を目指していましたが、作品によって移植の精度は大きく異なりました。中には、オリジナル版とは異なる動作をしたり、バグが多かったり、BGMや効果音に問題があったりするタイトルもありました。また、一部作品ではメニューや機能、付属のDVDやサウンドトラックにも不備が見られました。 具体的な例として、一部タイトルではBGMのテンポが異なっていたり、特定の音声が欠落していたり、画面表示の異常があったりといった問題が報告されています。

MAME著作権表示と開発体制の問題

さらに深刻な問題として、複数のタイトルのプログラムファイルに、ゲームエミュレータMAMEの著作権表示が含まれていたことが判明しました。当時、MAMEの商用利用は認められておらず、これは開発における重大な契約違反を示唆するものでした。ハムスター社長の濱田倫氏は、週刊ファミ通のインタビューで、採算性から海外チームに開発を委託した結果、品質の低下と契約違反が発生し、シリーズの中止・回収という事態に至ったと謝罪しています。この経験を踏まえ、ハムスターは後発のアーケードアーカイブスシリーズでは、日本チームだけで開発することを表明しました。

『オレたちゲーセン族』シリーズは、レトロゲームファンにとって魅力的な企画でありながらも、その開発過程における様々な問題点が明らかになった、複雑な歴史を持つシリーズと言えるでしょう。

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