オロモ語

オロモ語：エチオピアとケニアの主要言語

オロモ語（Afaan Oromoo、Oromiffaなどとも呼ばれる）は、アフロ・アジア語族クシ語派に属する言語であり、同語派で最も多くの話者数を有しています。主にエチオピアとケニアに住む2500万人以上のオロモ人、および周辺地域に住む人々によって第一言語として話されています。かつては「ガラ語 (Galla)」と呼ばれていましたが、オロモ人にとって不快な名称であるため、現在では使用されません。

話者数と分布

オロモ語話者の約95%はエチオピアのオロミア州に集中しており、ソマリアにも約4万2000人の話者が存在します。エチオピア国内では、40%以上の人々がオロモ語を話しており、最も多く話されている言語です。アフリカ全体で見ると、アラビア語、スワヒリ語、ハウサ語に次いで4番目に話者数の多い言語と見なされています（アラビア語の諸方言や変種をそれぞれ別言語としてカウントした場合）。オロモ語と近縁のボラナ語、オルマ語話者を含めると、その数はさらに増加します。
第一言語話者以外にも、オロモ語を第二言語として話す人々が多数存在します。オロミア州周辺に住む、オモ語派のバンバシ語話者やナイル・サハラ語族のクワナ人などがその例です。

言語政策と歴史

1974年のエチオピア革命以前は、オロモ語による出版や放送は厳しく制限されていました。19世紀末から一部の聖書翻訳などが存在しましたが、ゲエズ文字で書かれていたものがほとんどでした。革命後、政府はオロモ語を含む複数の言語での識字率向上キャンペーンを開始し、オロモ語での出版やラジオ放送が解禁されました。しかし、学校でのオロモ語教育は、オロモ解放戦線が支配していた地域を除き、1991年のメンギスツ政権崩壊まで実現しませんでした。
オロミア州の設立により、小学校の教育言語および地域行政言語としてオロモ語が導入されるようになりました。1990年代初頭以降は、オロモ人民民主主義機構がオロモ語（アファーン・オロモー）の確立に尽力しています。

オロモ語の表記には、1991年に公式採用された「クベー (Qubee)」と呼ばれる修正ラテン文字が最も多く用いられます。それ以前は、ラテン文字を基にした様々な正書法が存在していましたが、近年はエチオピア政府による制限が指摘されています。クベーの採用により、オロモ語の文献数は飛躍的に増加しました。過去には、サパロ文字やアラビア文字も用いられていました。ケニアでは1980年代からラジオ放送が行われ、ラテン文字によるボラナ方言の聖書も出版されています。近年では、オンライン辞書の開発も進んでいます。

発音と正書法

オロモ語には、多くのエチオピア言語と同様に放出音（喉頭音化と呼気の破裂を伴う無声破裂音や破擦音）や、そり舌入破音（dhと表記）といった特徴的な音素があります。母音には5つの短母音と5つの長母音が存在し、長母音は母音文字の二重表記で表されます。子音の二重化も意味の区別において重要です。クベー式アルファベットでは、一つの文字は一つの記号、または二つの記号（ch, dh, ny, ph, shなど）で表されます。ただし、表記法には方言差や時代による変化があることに注意が必要です。

文法

オロモ語の文法は、名詞、代名詞、動詞を中心に解説します。以下では、名詞の性・数・格、代名詞の種類、動詞の時制・態・活用などを詳細に説明します。

名詞

オロモ語の名詞には、男性と女性の文法上の性があり、動詞、代名詞、形容詞などの語形変化に影響を与えます。数には単数と複数があり、複数形は接尾辞の付加によって作られます。不定冠詞と定冠詞の概念も存在しますが、その表現方法は方言によって異なります。
オロモ語の名詞は、主格、属格、与格、具格、処格、奪格の6つの格変化を持ち、それぞれが接尾辞の付加や母音の長短変化によって表されます。

代名詞

オロモ語の代名詞は、人称代名詞（自立代名詞、所有形容詞、所有代名詞）、再帰代名詞、相互代名詞、指示代名詞などがあります。人称代名詞は、人称、数、性に一致する動詞の活用に影響を与えます。

動詞

オロモ語の動詞は、時制（過去、現在）、アスペクト、主語の人称・数・性などによって活用します。過去形と現在形、そして現在形を基にした3つの活用（従属節、命令形、否定形）が存在します。命令形は独立した形を持つ場合もあります。
オロモ語の動詞は受動態、使役態、中動態を派生させることができ、それぞれの態は接尾辞を付加することで作られます。また、反復相や強意相を表す派生形もあります。動詞の不定形は、名詞として機能し格変化します。

辞書と参考文献

オロモ語の辞書は、英語、アムハラ語との対訳辞書などが存在します。また、文法に関する専門的な書籍も多数出版されています。近年ではオンライン辞書も利用可能になっています。

オロモ語は、豊かな文化と歴史を持つオロモ人のアイデンティティを支える重要な言語です。その複雑な文法体系と多様な方言を理解することは、オロモ文化を深く理解することに繋がります。この解説が、オロモ語学習の一助となれば幸いです。

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