オロミア州

概要

エチオピアの中央部に位置するオロミア州は、同国を構成する行政区分の一つです。約30万平方キロメートルに及ぶ広大な領域を持ち、2023年時点の推定人口は約4084万人と、エチオピア国内の州・自治区の中で最も多くの人々が暮らす地域となっています。人口密度は1平方キロメートルあたり約137人と推定されています。

オロミア州は、1995年にエチオピア国内の民族構成に基づいた州の再編が行われた際に設置されました。主にオロモ人が多数を占める地域を統合する形で組織され、この地域の主要な民族集団であるオロモ人の文化やアイデンティティの中心地としての役割を担っています。

州の公式な公用語はオロモ語が定められています。歴史的な経緯から、2005年まではアダマが州都とされていましたが、現在は首都アディスアベバがその機能を果たしています。

地理

オロミア州は広範な地域にわたり、多くの州や周辺国と境界を接しています。北にはアムハラ州やアファール州、北東にはディレ・ダワ、東にはソマリ州が位置します。南東から南にかけてはケニア国境と接しており、マンデラ、ワジール、マルサビットといった都市の近隣にあたります。南西には南エチオピア州、シダマ州、中部エチオピア州が、西にはガンベラ州、そして南スーダンの上ナイル州が、北西にはベニシャングル・グムズ州が存在します。

また、オロミア州はその広大な領域内に、エチオピアの連邦首都であるアディスアベバを州中北部に、そしてハラリ州を北東部に内包しています。これらの都市や州は、地理的にはオロミア州の中に位置しながらも、それぞれ独立した行政単位となっています。

住民構成

オロミア州の設立は、かつて存在したバレ州、ハラルゲ州、イルバボール州、カファ州、シェワ州、シダモ州、ウォールガ州の一部から、オロモ人が多数居住する地域を分離・統合することで実現しました。そのため、州の人口構成はオロモ人が圧倒的多数を占めています。主な民族構成比は以下の通りです（1995年時点のデータに基づく推計）：

オロモ人: 87.8%
アムハラ人: 7.22%
グラゲ人: 0.93%
その他: 4.05%

社会情勢と紛争

オロミア州は、その設立経緯や地理的要因から、一部地域で社会的な課題に直面しています。特に、東部で隣接するソマリ州との間では、州境周辺の土地利用や資源管理を巡る問題から、ソマリ人とオロモ人のコミュニティ間での対立が継続的に発生しています。この対立は時に大規模な衝突へと発展し、2017年9月には多数の犠牲者が出るとともに、双方合わせて100万人近い人々が避難を余儀なくされる事態となりました。

また、州内にはオロモ解放軍（OLA）をはじめとする反政府武装勢力も活動しており、これが地域の不安定要因の一つとなっています（2021年現在）。これらの組織と政府軍との間の衝突も報告されています。

宗教

オロミア州では多様な宗教が信仰されています。イスラム教徒が最も多く、次いでエチオピア正教、プロテスタントの信者が続きます。伝統的な宗教も一定数信仰されており、文化的な多様性が見られます。主な宗教構成比は以下の通りです：

イスラム教: 47.5%
エチオピア正教: 30.5%
プロテスタント: 17.7%
伝統宗教: 3.3%
その他: 1.0%

経済と文化

オロミア州は、経済的にも文化的にもエチオピアにとって重要な地域です。特に、世界のコーヒー市場で大きな割合を占めるアラビカ種の原産地として知られており、現在でもこの地域には野生のアラビカコーヒーが自生しています。コーヒー栽培はこの地域の主要な産業の一つであり、多くの人々の生計を支えています。

人口推移

オロミア州の人口は近年急速に増加しています。過去の国勢調査や推定に基づくと、以下のような推移をたどっています。

1994年10月: 1873万2525人
2007年5月: 2699万3933人
2015年7月: 3369万2000人
* 2023年7月: 4088万4000人

この人口増加は、州の経済発展や社会基盤へのさらなる圧力となる可能性も指摘されています。

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