オロモ人

オロモ人：エチオピアを語る上で欠かせない民族

オロモ人は、アフリカ大陸東部、主にエチオピア中南部に居住する主要民族です。その人口はエチオピア国内で最大を誇り、総人口の約40％を占めると言われています。オロモ語で「力ある者」を意味する彼らの名は、歴史と文化、そして現代のエチオピア社会において重要な意味を持っています。かつては「ガラ族」という蔑称で呼ばれたこともありましたが、現在ではオロモ人という名称が広く用いられています。

オロモ人の歴史：拡大と統合

16世紀頃より勢力を拡大し始めたオロモ人は、エチオピア高地を含む広大な地域に居住区を広げました。その勢力拡大は、当時支配的であったソロモン朝エチオピア帝国の衰退に繋がる要因の一つとなりました。しかし、オロモ人自身は、統一された国家を形成したわけではなく、各地域で半農半牧の生活を営みながら、徐々にエチオピア社会に同化していきました。19世紀中頃、テオドロス2世によるアムハラ統一の過程で征服された後も、エチオピアの一部として歴史を歩んできました。

メンギスツ・ハイレ・マリアム政権下の圧政に対する抵抗運動においても、オロモ人は重要な役割を果たしました。1991年のエチオピア人民革命民主戦線（EPRDF）による政権掌握後も、オロモ人民民主機構（OPDO）がEPRDFを構成する主要政党の一つとして参加していますが、政治的影響力の行使においては、常に課題を抱えてきました。

2018年、アビィ・アハメド首相の誕生は、オロモ人にとって歴史的な出来事でした。アビィ首相はオロモ人初の首相であり、その選出はオロモ人の政治的進出を示唆する出来事でした。さらに、彼は2019年にはノーベル平和賞を受賞しています。

オロモ人の文化と生活：多様な様相

オロモ人は、半農半牧の生活を営む民族として知られています。しかし、16世紀以降の拡散に伴い、地域によって生活様式や文化に多様性が生まれました。言語においても、いくつかの方言が存在します。長らくアムハラ語中心の教育政策がとられてきたため、オロモ語による出版物は多くありません。

オロモ人の埋葬方法は独特です。石積みの墓が作られることが多く、墓そのものは特別な祭祀の場とはならず、有力者の墓には人形が刻まれる場合もあります。一般人の場合は合葬されることも多く、墓碑銘は刻まれません。

アディスアベバとオロモ人

エチオピアの首都アディスアベバは、歴史的にオロモ人の居住地の中央部に位置していました。しかし、メネリク2世によって首都が建設された後、アムハラ人をはじめとする多くの民族が流入し、現在ではオロミア州に囲まれた特別地域となっています。このことは、首都におけるオロモ人の歴史的、文化的、政治的立場を複雑にしています。

著名なオロモ人

オロモ人の間からは、数多くの著名人が輩出しています。オリンピックで金メダルを獲得したアベベ・ビキラ、ケネニサ・ベケレ、エチオピア大統領を務めたネガソ・ギダダ、ムラトゥ・テショメ、そしてアビィ・アハメド首相など、様々な分野で活躍する人々がいます。これらの著名人の存在は、オロモ人の能力と才能を示すものです。

近年のオロモ人を取り巻く状況

近年、エチオピアでは民族間の緊張が高まっています。2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、オロモ人の選手が政府の民族弾圧に抗議する行為を行い、国際的な注目を集めました。また、ソマリ州との間での衝突も発生しており、民族間の対立は依然としてエチオピア社会の大きな課題となっています。

まとめ

オロモ人は、エチオピアの歴史と社会において重要な役割を果たしてきた民族です。彼らの文化、歴史、そして現代社会における地位を理解することは、エチオピアを理解する上で不可欠です。オロモ人の未来、そしてエチオピアの未来は、民族間の調和と相互理解の上に築かれるべきでしょう。

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