オーストラリアの鉄道

オーストラリアの鉄道網の概要

オーストラリアの鉄道網は、約33,819キロメートルに及ぶ広大な延長を誇り、主に3種類の軌間が使用されています。この中で、2540キロメートルの区間が電化されており、特に貨物輸送においては鉄道が主要な役割を果たしています。

鉄道の所有と運営

オーストラリアの鉄道は、主に連邦や州によって所有されており、私鉄は少数派です。かつては州政府が運行していた鉄道ですが、1990年代の民営化により、多くの路線が民間企業により運営されています。連邦政府は鉄道に関する政策を策定し、鉄道プロジェクトに資金を供給しています。

軌間の問題

オーストラリアでは、初期に各植民地ごとに鉄道が建設されたため、軌間に関して統一がなされなかったことが問題として浮上しました。イギリス政府が提案した軌間の統一も無視され、各植民地内でも異なる軌間が採用されることとなりました。この問題は現在でも解決に至っておらず、鉄道網の効率性に影響を与えています。例えば南オーストラリア県のウーズレーとマウントガンビア線は、孤立した軌間のため、ほとんど利用価値がありません。

軌間の種類と延長

• - 広軌（1600 mm）: 延長4017キロメートル（主にビクトリア州）
• - 標準軌（1435 mm）: 延長17,678キロメートル（主にニューサウスウェールズ州）
• - 狭軌（1067 mm）: 延長15,160キロメートル（主にクイーンズランド州）
• - その他の狭軌: 762 mmで24キロメートル、610 mmで4150キロメートルのサトウキビ鉄道等
• - 三線軌条: 281キロメートル

電化の歴史

オーストラリアでの鉄道の電化は1919年に始まりましたが、採用されている電化方式は地域ごとに異なっています。メルボルンとシドニーでは1500 V直流が使われますが、ブリスベンとパースでは25 kVの交流方式が採用されています。

歴史的背景

オーストラリアにおける最初の鉄道は、1854年に南オーストラリア植民地で開通しました。この路線は馬が牽引するもので、同年にビクトリア植民地でも蒸気機関車が運行されました。その後、各植民地政府が鉄道を民営企業から買収することで、鉄道の発展が促進されました。

主な歴史的な出来事

• - 1854年: メルボルンとポート・メルボルンを結ぶ路線が開通。
• - 1917年: オーストラリア大陸横断鉄道が開通。
• - 2004年: アリススプリングスとダーウィンを結ぶ鉄道が完成し、大陸縦貫鉄道が実現。

政府の役割と投資

政府は、鉄道に対する投資を長年にわたり行ってきました。1920年代から1970年代にかけては、州政府の鉄道プロジェクトに対して公的資金を供給し、特に1992年のOne Nationプログラムが大きな注目を集めました。また、オースリンクプログラムにより、鉄道は道路と同様の条件で資金を受ける機会が与えられ、鉄道インフラの整備が進められています。

運営組織と貨物輸送

オーストラリアの鉄道では、パシフィック・ナショナルなどが主要な貨物鉄道事業者として活躍しています。また、旅客鉄道は各州で運営されており、例えばカントリーリンクはニューサウスウェールズ州を中心に広範なサービスを提供しています。都市間輸送と同様に、近郊鉄道もそれぞれの州によって運営されています。

まとめ

オーストラリアの鉄道網は、多様な軌間と電化方式を持つ複雑なシステムであり、歴史的な問題を抱えつつも成長を続けています。連邦および州政府の施策によって、今後も鉄道の発展が期待されます。

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