オーベッド・マーシュ

オーベッド・マーシュとインスマスの影

オーベッド・マーシュは、H・P・ラヴクラフトのクトゥルフ神話において、架空の町インスマスを牛耳ったマーシュ家の祖であり、ダゴン秘密教団の創設者として知られています。1927年時点で既に故人となっていますが、『インスマスを覆う影』を始めとする多くのクトゥルフ神話作品において、その影響は絶大です。

マーシュ家：深きものどもとの契約

マーシュ家はインスマスを支配する名家でしたが、その繁栄の裏には、深きものどもとの恐るべき契約がありました。オーベッドは、ポリネシアのカナカイ族から深きものどもを召喚する儀式を学び、悪魔の岩礁で契約を結びます。この契約により、マーシュ家は深きものどもとの混血となり、莫大な富と引き換えに、人外との血を受け継ぐこととなりました。

オーベッド・マーシュ：野心と契約

オーベッドは、1812年の米英戦争下の不況の中でも航海を続け、野心的な船長でした。カナカイ族との交流を通して得た知識を元に、深きものどもとの契約を結びます。彼は深きものどもと交配し、人間と人外の子供をもうけました。その結果、マーシュ家には、人間と深きものどもの血が混ざった異様な容姿を持つ者たちが数多く現れることになります。

1846年、反対派による反乱が起こりますが、海から現れた深きものどもによって鎮圧され、オーベッドは解放されます。その後も、マーシュ家はダゴン秘密教団を率いてインスマスを支配し続けますが、オーベッド自身は1878年に亡くなっています。

深きものの血縁：複雑な家系図

オーベッドの妻には、人間女性と、深きものどもであるプトトヤ・ライがいます。プトトヤ・ライとの間に生まれた子供たちは、人外の特徴を受け継いでおり、『インスマスを覆う影』の主人公は、オーベッドの玄孫にあたります。物語の中で、主人公は自身の家系の恐るべき真実を知ることになります。

オーベッドの娘はフランスで教育を受け、その後、アーカムのベンジャミン・オーンと結婚します。彼らの娘であるイライザ・オーンは、主人公の祖母にあたりますが、その容姿や言動は、一族の中でも異質で気味悪がられていました。

イライザの息子であるダグラスは、一族の真実を究明しようとし、その結果、自殺してしまいます。ウォルターはイライザのもう一人の息子で、彼の息子がローレンスです。ローレンスは、主人公の従弟にあたります。

インスマスを覆う影の主人公

小説の主人公は、オーベッドの玄孫であり、イライザの孫にあたります。彼の名前は作中では明かされていませんが、ラヴクラフトの覚書ではロバート・オルムステッド、あるいはウィリアムスという名前が考えられています。

彼はインスマスを訪れ、その街の恐ろしい秘密に触れます。そして、自身の家系を辿るうちに、深きものどもとの恐ろしい血縁関係を明らかにすることになります。

後世の解釈と派生作品

ラヴクラフトの死後、他の作家たちがオーベッド・マーシュやマーシュ家、ダゴン秘密教団の設定を様々な形で発展させてきました。オーガスト・ダーレスやジャック・ヨーヴィルといった作家たちは、それぞれの作品において、新たなマーシュ家の人物や、ダゴン秘密教団の活動を描いています。これらの作品では、オーベッドの出自や、深きものどもとの関係が、新たな解釈を加えられて再構築されています。

ダゴン秘密教団

ダゴン秘密教団は、深きものどもを崇拝する秘密結社です。インスマスを拠点とし、世界各地に支部を持つとされています。教団は、深きものどもとの交配を促し、クトゥルフの復活を企てています。

まとめ

オーベッド・マーシュは、クトゥルフ神話における象徴的な存在です。彼の物語は、深きものどもとの契約、人外との血縁、そしてインスマスの運命を象徴的に表しています。その後の作家たちによる解釈や発展もあり、オーベッド・マーシュはクトゥルフ神話において、常に重要な役割を担い続けているのです。

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