カムディ

カムディ（Khamudi） - 古代エジプト第15王朝のファラオ

カムディは、紀元前1570年頃から紀元前1560年頃、または紀元前1540年頃から紀元前1535年頃まで在位したとされる、古代エジプト第15王朝の第5代ファラオです。この王は、国の重要な歴史的転換期を迎えた時代に王座についていました。彼に関する概要は、トリノ王名表の第10欄20行目に記載されています。カムディはヒクソス王朝の最後の王と見なされています。

不確かな在位期間

カムディの正確な在位期間は明確ではありませんが、彼に関連するいくつかの印章がパレスティナのエリコやビブロスから発見されています。これらの発掘物は、彼の存在を裏付ける重要な証拠です。また、リンド数学パピルスには、名前が不明の王の治世11年目に関する記述があり、これがカムディの治世を示しているという説もあります。

ヒクソスの時代背景

カムディの在位時には、エジプト国内で大きな混乱が広がっていました。先代の王アペピの治世末期には、テーベの第17王朝がヒクソスの支配からの解放を目指して戦争を挑んでいました。この戦争の中で、エジプト人の偉大な王セケンエンラーとカーメスが相次いで命を落としました。これに見切りをつけ、両者の間で講和が結ばれたものの、カムディの治世の途中で、カーメスの後を受けたイアフメス1世が再びヒクソスに対して戦いを挑み、解放戦争が再開されました。

解放戦争とヒクソスの衰退

イアフメス1世の勢力はテーベ側からの攻撃により急速に強化され、ヒクソスの支配は衰退していきました。彼の治世10年目には、首都アヴァリスが陥落し、第15王朝はついにエジプトから追放されることとなりました。カムディの治世の末期には、ヒクソスの領地はシャルヘンを中心にネゲヴ地方をわずかに残すのみとなり、カムディがこの時にどのような運命を辿ったのかは不明です。

終焉を迎えた王朝

カムディが殺害されたのか、またはすでに亡くなっていたのかについては歴史的な証拠が不足していますが、シャルヘンの陥落をもちまして第15王朝は滅亡し、ヒクソスの支配に終止符が打たれました。カムディの治世は、エジプトの歴史において重要な転換点となった瞬間であったと言えるでしょう。エジプトは新たな時代へと歩み始め、カムディはその一因として記録されています。

参考文献

• - エイダン・ドドソン、ディアン・ヒルトン『全系図付エジプト歴代王朝史』池田裕訳、東洋書林、2012年。ISBN 978-4-88721-798-0。
• - K.S.B. Ryholt, "The Political Situation in Egypt during the Second Intermediate Period, c.1800-1550 BC" (Museum Tusculanum Press, 1997)。

もう一度検索