カルテット (2017年のテレビドラマ)

あらすじ

『カルテット』は、2017年1月17日から3月21日までTBS系「火曜ドラマ」枠で放送された連続ドラマです。主演は松たか子が務め、約5年ぶりの連続ドラマ出演となりました。物語は、弦楽四重奏「カルテットドーナツホール」（以下、QDH）を組む30代の男女4人を中心に展開します。

第1幕：出会いと秘密

元プロ演奏家の巻真紀、サラリーマンの別府司、チェリストの世吹すずめ、フリーターの家森諭高は、偶然カラオケボックスで出会い、QDHを結成します。それぞれが音楽への未練を抱えながら、軽井沢の別荘で共同生活を始め、演奏会を目指します。しかし、真紀には失踪した夫、すずめには過去のトラウマ、諭高には元妻とのトラブルなど、それぞれが秘密を抱えていました。さらに、真紀の姑から依頼されたすずめが真紀の素性を探るという、複雑な人間関係が絡み合います。

第2幕：それぞれの選択

物語は、真紀の夫の失踪の真相、そしてQDHのメンバーたちの過去が明らかになっていきます。真紀の夫は、実は仕事と夫婦関係に悩み、逃げるように失踪していました。また、すずめはかつて詐欺まがいの超能力少女を演じていた過去を抱えており、そのことで脅迫も受けていました。諭高は、元妻との関係を修復しようとしますが、うまくいきません。そんな中、音楽プロデューサーの朝木との出会いを経てQDHは本格的な演奏活動を始めますが、メンバー間の意見の食い違いやそれぞれの個人的な問題も表面化していきます。メンバーの一人であるすずめが、真紀の夫である幹生を発見したことで物語はさらに加速します。

真実と絆

物語が進むにつれて、真紀の出生の秘密が明らかになります。彼女は実は戸籍を買い、別人として生きていたのです。警察の捜査が始まり、QDHのメンバーは真紀を信じるか疑うかという選択を迫られます。しかし最終的に、彼らは過去ではなく今の真紀を信じ、彼女と共に音楽を奏でることを選びます。最終回では、QDHのメンバーが、過去を乗り越えて新たな一歩を踏み出す姿が描かれています。

登場人物

巻 真紀（早乙女 真紀）: 元プロヴァイオリニスト。過去のトラウマを抱え、失踪した夫を待ち続けています。本名は山本彰子。複雑な過去を持つ。
世吹 すずめ: チェロ奏者。過去に超能力少女を演じていたトラウマを持ち、眠ることが多い。
家森 諭高: ヴィオラ奏者。離婚歴があり、息子を愛するも、やや理屈っぽい性格。
別府 司: 第二ヴァイオリン奏者。温厚で優しい性格だが、過去から真紀に恋心を抱いている。音楽一家に生まれたが、自身はプロにならなかった。
来杉 有朱: ライブレストラン「ノクターン」のアルバイト店員。腹黒く、策略家。
谷村 大二郎: 「ノクターン」のオーナーシェフ。愛妻家。
谷村 多可美: 「ノクターン」のホール担当。大二郎の妻。
半田 温志: 諭高を追う男。
巻 幹生: 真紀の夫。失踪していたが、後に再会。
巻 鏡子: 幹生の母。真紀の素性を疑っている。

ロケ地

主なロケ地は、軽井沢と東京です。軽井沢の美しい自然が、物語の舞台を彩っています。

軽井沢駅周辺
ライブレストラン「ノクターン」（煙事燻製工房軽井沢）
軽井沢タリアセン
ハルニレテラス
軽井沢ユニオン・チャーチ
軽井沢大賀ホール
軽井沢プリンスショッピングプラザ
シアター・イメージフォーラム
播磨坂桜並木
文京シビックセンター

スタッフ

脚本: 坂元裕二
音楽: fox capture plan
主題歌: Doughnuts Hole「おとなの掟」
プロデューサー: 土井裕泰、佐野亜裕美
演出: 土井裕泰、金子文紀、坪井敏雄

受賞

『カルテット』は、数々のドラマ賞を受賞しています。

ギャラクシー賞
コンフィデンスアワード・ドラマ賞
東京ドラマアウォード
ザテレビジョンドラマアカデミー賞
エランドール賞
日本ゴールドディスク大賞
芸術選奨文部科学大臣賞
橋田賞

音楽

劇中では、クラシック音楽からJ-POPまで、幅広いジャンルの音楽が使用されています。特に、主題歌の「おとなの掟」は、ドラマの雰囲気を象徴する楽曲として人気を集めました。劇中で使用された主な楽曲は以下の通りです。

ガスパール・カサド「無伴奏チェロのための組曲」
すぎやまこういち「序曲」「レベルアップ」（ドラゴンクエストより）
ルイギ「ラヴィアンローズ」
ベドルジハ・スメタナ「モルダウ（「わが祖国」より）」
フランツ・シューベルト「アヴェ・マリア」
ペンギン・カフェ・オーケストラ 「Music for a Found Harmonium」
SPEED「White Love」
X JAPAN「紅」
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番 前奏曲」
Traditional「フレール・ジャック」
ヤン・ティルセン「ラ・ヴェイエ」
ヨハン・シュトラウス2世「美しく青きドナウ」
ピエトロ・マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲」
ジョニ・ミッチェル「青春の光と影」
エリック・サティ「ジュ・トゥ・ヴ」
フランツ・リスト「慰め」
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ「メヌエット」
作詞・坂元裕二、作曲・中野香梨「上り坂 下り坂 ま坂」
フランツ・シューベルト「死と乙女」

その他

『カルテット』は、単なるドラマの枠を超え、社会現象を巻き起こしました。その複雑なストーリー展開、魅力的なキャラクター、そして美しい音楽は、多くの視聴者を魅了しました。また、ドラマの舞台となった軽井沢は、ロケ地巡りのファンで賑わいました。

もう一度検索