カルマパ

カルマパ（チベット語: ཀརྨ་པ་, ワイリー方式: karma pa, 英: Karmapa）は、チベット仏教の主要な宗派の一つであるカギュ派の中でも、最大規模を誇るカルマ・カギュ派の教主として知られる化身ラマの称号です。この称号は、チベット仏教全体においても非常に高い格式を持つ僧侶に与えられます。

カルマパは、その正装時に黒い帽子を着用することから、「カルマ黒帽ラマ」という異名でも広く知られています。また、ギャルワ・カルマパ（チベット語: རྒྱལ་བ་ཀརྨ་པ་, ワイリー方式: rgyal ba karma pa, 英: Gyalwa Karmapa）とも呼ばれ、観音菩薩の化身であると信じられています。初代カルマパであるトゥースム・キェンパは、カギュ派の開祖であるガムポパの高弟でした。

一般的に、カルマパは「ダライ・ラマ、パンチェン・ラマに次ぐ、チベット仏教の序列第3位」と説明されることがあります。しかし、チベット仏教全体の指導者としての地位はダライ・ラマがより高く、ダライ・ラマとパンチェン・ラマはゲルク派に属しているため、この「序列3位」という表現は厳密には正確ではありません。ただし、カルマ・カギュ派の勢力の大きさ、そしてカルマパ17世の亡命が国際的なニュースになったことから、ダライ・ラマやパンチェン・ラマに匹敵するほどの知名度を誇ることは事実です。

しかし、カルマパ16世が亡くなった後、後継者であるカルマパ17世の認定を巡って、カルマ・カギュ派内部で意見が対立し、カルマパ17世が複数存在するだけでなく、カルマ・カギュ派が二つに分裂するという事態が発生しました。具体的には、カルマ・カギュ派の多数派がウゲン・ティンレー・ドルジェをカルマパ17世として選び、ダライ・ラマ14世と中国政府の承認を得ました。しかし、カルマ・カギュ派の筆頭摂政であったシャマル・リンポチェ（カルマ赤帽ラマ）はこれを認めず、別の候補者であったティンエー・タイェ・ドルジェをカルマパ17世として擁立しました。

その後、ティンエー・タイェ・ドルジェは主に欧米で独自の布教活動を行っていましたが、2016年3月25日にインドのニューデリーで結婚し、僧位を放棄することを発表しました。この結果、シャマル派は教主を失うことになりました。また、2001年にはシッキム出身のダワ・サングポ・ドルジェ（1977年-）がカルマパ17世を自称しましたが、一般的には支持を得るには至りませんでした。

現在のカルマパ17世であるウゲン・ティンレー・ドルジェに関する詳しい情報は、カルマパ17世の項目で確認できます。

歴代のカルマパ

歴代のカルマパについては、以下の資料をご参照ください。

参考文献

* 田中公明『活仏たちのチベット—ダライ・ラマとカルマパ—』（春秋社、2000年）

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