カントー

カントー市：メコンデルタの心臓部

カントー市は、ベトナム南部に位置するメコンデルタ地方最大の都市であり、中央政府直轄市として省と同等の行政権を持っています。年間を通して温暖な気候で、平均気温は約27度と過ごしやすいのが特徴です。この都市は、その地理的特徴から「川の都」とも称され、運河が網の目のように広がり、緑豊かな果樹園が点在しています。多様な民族が共存し、それぞれの文化が独特の魅力を放っています。

地理と気候

カントー市は、ホーチミン市から西へ約160キロメートルに位置し、メコン[[川]]の主要な支流であるハウザン川沿いに広がっています。熱帯モンスーン気候に属し、5月から11月にかけては雨季、12月から4月にかけては乾季となります。年間平均湿度は83％、年間平均降水量は1,635ミリメートルと、湿潤な気候が特徴です。カントー川は、都市部と農村部を結ぶ重要な水路であり、特にカントー川がハウザン川に流れ込む周辺が市の中心部となっています。上流には、田園風景やジャングルが広がり、水路が複雑に入り組んでいます。

歴史

カントーの地は、かつてクメール王朝の一部であり、現在でも多くのクメール人が居住しています。その歴史的背景から、クメール文化の影響を色濃く残しています。

行政区分

2004年、カントー省からハウザン省が分離し、カントー市は省と同格の中央直轄市となりました。市内は、5つの区と4つの県で構成されています。各区は都市的な性格を持ち、県は農村的な性格が強いです。

区

ビントゥイ区
カイラン区
ニンキエウ区
オーモン区
トットノット区

県

コードー県
フォンディエン県
トイライ県
* ヴィンタイン県

経済

メコンデルタは「ベトナムの穀倉」と呼ばれ、ベトナム全体の米生産量の半分以上を産出しています。カントー市は、この地域における経済、文化、科学技術の中心地として重要な役割を担っています。空港、河川港、工業団地などが整備され、国内外からの投資が活発です。

教育

カントー市には、総合大学であるカントー大学をはじめとする高等教育機関が複数存在します。特にカントー大学の農学部とデルタ米作研究所は有名で、日本の政府開発援助によって建設された施設も多くあります。

交通

カントー市には、国際空港であるカントー空港があり、国内外からのアクセスが便利です。2010年に完成したカントー橋は、日本のODAによって建設され、地域間の交通を円滑にしています。市内には、複数のバスターミナルがあり、周辺地域へのバス便が運行されています。

観光

カントー市は、メコンデルタ観光の拠点として、多くの観光客が訪れます。特に、カイランやフォンディエンの水上マーケットは有名で、早朝から活気にあふれています。これらの水上マーケットでは、地元産の新鮮な農産物や果物が取引され、観光客向けの朝食や軽食も販売されています。近年、水上マーケットの規模は縮小傾向にありますが、その魅力は今も健在です。

水路を巡るボートツアーも人気があり、田園風景や果樹園を楽しむことができます。また、農村部には、蓮池や果樹園を備えた休憩所があり、特産品であるザボン、リュウガン、パラミツ、マンゴー、ランブータン、釈迦頭、ドラゴンフルーツ、ミカン、ドリアン、ジャックフルーツなどを味わうことができます。その他、ライスペーパー作りや、地元料理のフーティウ・ピザ、ワニ養殖場など、多様な体験ができます。

ニンキエウ公園周辺には、レストラン、市場、寺院などが集まり、夜にはナイトマーケットが開かれます。また、カントー川では、ナイトクルーズが運航され、食事やショーを楽しみながら、夜景を鑑賞できます。さらに、ハウザン川沿いの水路では、ホタル観賞も人気です。

その他、ビントゥイの旧家、カントー博物館、多くの果樹園など、魅力的な観光スポットが数多くあります。市内には、様々なタイプの宿泊施設があり、5つ星ホテルからゲストハウス、ホームステイまで、予算や好みに合わせて選ぶことができます。

カントー市では、年間を通じて様々な観光イベントが開催され、特に旧正月にはフラワーストリートが賑わいます。

日本との関係

日本は、1969年からカントー大学農学部への技術協力や無償資金協力を実施しており、JICA、東京大学、京都大学など、多くの機関が協力しています。また、カントー市には、多くの日系企業が進出しており、経済交流も活発です。越日友好工業団地が設立され、日系企業の工場が操業しています。

カントー市の将来

カントー市は、メコンデルタの中心都市として、今後ますます発展していくことが期待されています。観光、経済、教育の分野で、更なる成長が見込まれます。

もう一度検索