カーツ (フリゲート)

ミサイルフリゲート「カーツ」の軌跡：対潜戦から湾岸戦争、麻薬取締まで

「カーツ」（USS Curts, FFG-38）は、[アメリカ海軍]]が運用していたオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートの29番艦です。その艦名は、モーリス・カーツ[[中将]に由来します。

太平洋艦隊での対潜任務

カーツは1979年4月27日に建造発注され、1981年7月1日に起工、1982年3月6日に進水、そして1983年10月8日に就役しました。当初はカリフォルニア州ロングビーチを母港としていました。

就役当初、カーツは太平洋艦隊に所属するオリバー・ハザード・ペリー級の中で初めて統合対潜システム「AN/SQQ-89|AN_SQQ-89」を搭載した艦艇でした。そのため、特に対潜戦（ASW）に重点を置いた任務に従事し、1985年から1987年の半ばにかけては、ASWを主任務とする第31駆逐戦隊（DESRON 31）に配属されました。1987年には、ソビエト海軍の潜水艦を追尾した功績により、海軍部隊勲功章を受章しています。

中東派遣と湾岸戦争での活躍

1988年、カーツは戦艦ミズーリを中核とするミズーリ戦闘群に加わり、イラン・イラク戦争中に実施されたクウェートのタンカーに対する船団護衛作戦「アーネスト・ウィル作戦」に参加しました。北アラビア海やオマーン湾などで任務に従事し、派兵章を受章しています。

同年6月1日、カーツは母港をロングビーチから横須賀に変更しました。これはミサイルフリゲートとして初の海外前線部隊への配備であり、カーツと僚艦は、LAMPS MK IIIを搭載したSH-60B シーホーク対潜ヘリコプターを厚木の航空基地に輸送する任務も担っていました。

湾岸戦争では、「砂漠の盾作戦」において対イラク制裁案に基づき商船の監視・臨検任務を実施。この際、漂流していたベトナム漁民50人を救助しています。続く「砂漠の嵐作戦」では、海軍が展開した全ての戦闘任務に参加。1991年1月24日のカル島攻略戦では、搭載ヘリコプターが陸軍ヘリコプターと共に攻撃に参加し、イラク守備隊を制圧、51人のイラク兵を捕虜にしました。その他、機雷2機の破壊、イラク海軍の機雷敷設艦1隻の撃沈、イラクの情報収集網の破壊といった戦果を挙げています。

その後の任務と退役

1998年に予備役に編入された後は、麻薬密売取締に関連する任務・訓練を多く担当しました。2004年6月にはサンディエゴを母港とし、第1駆逐戦隊に所属。2007年には第23駆逐戦隊（DESRON 23）に配転され、退役まで同戦隊で任務に就きました。

2008年には、対テロ戦争の一環として「不朽の自由作戦」（OEF）および「イラクの自由作戦」（OIF）を支援するため、第5艦隊の担当海域に派遣。久々の戦闘支援任務となりました。

2013会計年度に退役が決定し、2013年2月27日に退役。最後の任務は、対国際犯罪任務および麻薬密売取締任務「マルティーヨ作戦」への参加で、2,600万ドル相当のコカイン12トンを押収しました。2012年12月3日にサンディエゴへ帰還しています。

2013年1月25日に退役式典が行われ、正式に退役。退役後、2月27日に予備役に編入されました。メキシコ海軍への譲渡案も検討されましたが、実現には至りませんでした。

2020年9月18日、共同訓練「バリアント・シールド」において、水上艦撃沈訓練（SINKEX）の標的となり、空母ロナルドレーガン艦載機、イージス巡洋艦、原子力潜水艦によって海没処分されました。

カーツは、その生涯において、冷戦終結から湾岸戦争、そして対テロ戦争、麻薬取締まで、アメリカ海軍の様々な任務を担い、その役割を果たしました。

もう一度検索