キアサージ (強襲揚陸艦)

キアサージ(USS Kearsarge, LHD-3): アメリカ海軍の多用途強襲揚陸艦

キアサージは、アメリカ海軍が保有するワスプ級強襲揚陸艦の3番艦です。その艦名は、南北戦争で活躍した同名艦艇に由来しており、4代目にあたります。1990年2月9日にミシシッピ州パスカグーラのインガルス造船所で起工、1992年3月26日に進水しました。進水式には、当時統合参謀本部議長だったコリン・パウエル氏も出席したと記録されています。1993年10月16日、キアサージは正式に就役し、以来、世界各地でその任務を遂行しています。

多様な任務と高度な能力:

キアサージは、純粋な兵員輸送だけでなく、戦車やトラック、野砲といった地上部隊の装備品や補給物資の輸送、そしてそれらの整備までを担う、総合的な後方支援能力を備えています。

その多様な任務には、人道支援活動も含まれています。1997年にはシエラレオネのフリータウンで市民の救出活動を行い、1995年にはボスニアでアメリカ空軍大尉の救出に成功しました。また、キアサージは、病院船「コンフォート」や「マーシー」に匹敵する高度な医療システムを搭載しています。この医療能力は、1999年のコソボ紛争でアルバニア系住民への支援活動において重要な役割を果たしました。さらに、キアサージは旗艦任務もこなせる戦闘指揮統制システムを備えており、コソボ紛争におけるNATO軍の作戦拠点としての機能も担っていました。

テロ攻撃とリビア内戦への対応:

2005年8月19日、ヨルダンのアカバ港に停泊中、キアサージはカチューシャロケット3発の攻撃を受けました。艦自体には被害はありませんでしたが、この攻撃によりヨルダン兵1名が死亡、1名が負傷しました。この攻撃はアルカーイダ関連組織による犯行声明が出されています。

2011年にはリビア内戦において、キアサージは400名の海兵隊員とともにリビア沖合の地中海に展開し、作戦行動に参加しました。これはキアサージが持つ高い作戦遂行能力を改めて示す事例と言えるでしょう。

近年と将来:

2020年7月には、ノーフォークでの補修整備中に艦内で小規模な火災が発生しましたが、大事には至らず、短期間の作業中断で済みました。

キアサージは、その多様な能力と長年にわたる実績から、アメリカ海軍の重要な戦力としてこれからもその役割を担っていくものと予想されます。今後も世界各地で発生する様々な事態に対応し、人道支援から軍事作戦まで幅広い任務をこなす存在として、その存在感を示し続けるでしょう。

参考情報:

公式ウェブサイト: http://www.kearsarge.navy.mil/ (リンク切れの可能性があります)
NavSource Online: USS Kearsarge
* MaritimeQuest USS Kearsarge LHD-3 Photo Gallery

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