キルギス人

キルギス人について

キルギス人はテュルク系民族で、主にキルギス共和国を中心に分布しています。約260万人が同国に暮らし、周辺の旧ソビエト連邦諸国や中国の新疆ウイグル自治区にも数十万人が居住しています。彼らは自称を「クルグズ」とし、国際的には「Kyrgyz」と表記されますが、日本では「キルギス」として知られています。

名称の由来

「キルギス」という名称は、ロシア語の「Киргиз」に由来しています。元々、ロシア帝国時代にはカザフ人を誤って指していたため、キルギス自体は「カラ・キルギス」と呼ばれていました。1970年代にソ連の構成国になった後、対外的に「Kirghiz」と呼ばれるようになり、1990年にはキルギス語に基づく「Kyrgyz」として国際的にも定着しました。中国では「キルギス」と「クルグズ」という呼称で使い分けており、前者は国家を指し、後者は少数民族を意味します。

キルギス人の歴史

イェニセイ・キルギス

キルギス人の祖先は、古代中国の歴史書『史記』などに見られる堅昆と考えられています。彼らはイェニセイ川流域で遊牧生活を営んでおり、匈奴に服属していました。唐代には黠戛斯（かつかつし）とも呼ばれ、840年に決起して回鶏を滅ぼしましたが、モンゴル高原の支配には至りませんでした。

天山キルギス

現在のキルギス人は、天山山脈やパミール・アライに住む民族を指します。彼らはモンゴル帝国や中央アジアの文化的影響を受けながら発展してきました。17世紀には近隣の民族の影響でイスラム教に改宗しましたが、シャーマニズムの信仰も残っています。

ロシア革命以降

ロシア革命後の1924年には、キルギス人が自治州を形成しました。続いて1936年にキルギス・ソビエト社会主義共和国が設立され、その後の1991年にはソ連が崩壊し、キルギスタン共和国として独立を果たしました。

現代のキルギス人

キルギス人は今でもほとんどが遊牧生活から離れ、農業や他の職業に従事しています。また、キルギス語を母国語とし、主にスンナ派のムスリムですが、地域によってはシャーマニズムやラマ仏教の影響も見られます。彼らの文化遺産としては、叙事詩『マナス』が特に有名です。

遺伝的背景

キルギス人は主にモンゴロイドに属しつつも、若干コーカソイドの特徴が見受けられます。遺伝子調査によると、特にY染色体ハプログループR1aが高頻度で確認されています。

文化と著名人

キルギス文化には独特の伝説や伝承が存在します。例えば、キルギス人と日本人の間には兄弟関係の伝説が伝わっており、両者の間に文化的な共通点が見出されることがあります。著名な人物としては作家のチンギス・アイトマートフや民族運動の指導者である伊斯哈克拜克·木農阿吉などが挙げられます。彼らの生活や文化は非常に豊かで、多様な影響を受けて形成されています。

キルギス人はその歴史的背景から、現代においても独自の文化を保ちながら、周囲の国々との関係を築いています。

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