ギルバート・キャプラン

ギルバート・キャプラン（1941年3月3日 - 2016年1月1日）は、アメリカ合衆国の実業家、指揮者、そしてグスタフ・マーラーの研究家として知られています。

実業家から指揮者へ

キャプランは、1967年に創刊されたアメリカの経済誌『インスティテューショナル・インベスター』の創刊者として実業の世界で成功を収めました。しかし、音楽教育を受けた経験はなかったものの、マーラーの交響曲第2番『復活』への深い愛情から、指揮者になることを志します。30代を過ぎてからゲオルク・ショルティに師事し、指揮法を学び始めました。

1982年、40代でエイヴリー・フィッシャー・ホールにて自費コンサートを開き、指揮者としてデビューを果たします。このコンサートは絶賛され、多くのオーケストラから客演の依頼が舞い込むようになりました。彼は『復活』のみを専門とする指揮者として、その名を知られるようになりました。

『復活』に捧げた生涯

キャプランが客演し『復活』を指揮した主なオーケストラは以下の通りです。

ロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団
セントルイス交響楽団
ピッツバーグ交響楽団
ワシントン・ナショナル交響楽団
ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団
北ドイツ放送交響楽団
バイエルン国立歌劇場管弦楽団
ロンドン交響楽団
フィルハーモニア管弦楽団
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
スカラ・フィルハーモニー管弦楽団
オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
フィンランド放送交響楽団
プラハ交響楽団
ブダペスト交響楽団
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
キーロフ歌劇場管弦楽団
サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団
ロシア・ナショナル管弦楽団
新日本フィルハーモニー交響楽団
メルボルン交響楽団

『復活』以外のレパートリーを持たず、同曲の指揮以外の音楽的キャリアはほとんどありませんでしたが、『復活』に関しては世界的な第一人者として認められていました。実業で成功を収めた後、中年以降に指揮者へ転身した点、そしてただ1曲のみを振り続けたという点において、キャプランは他に類を見ない稀有な存在でした。

功績と晩年

1988年にロンドン交響楽団と録音したアルバムは、マーラー作品のCDとして史上最高の売り上げを記録しました。2002年には、私財を投じて購入したマーラー自筆譜を元にした新校訂版「キャプラン版」による録音をウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と行い、大きな話題となりました。

指揮活動の他、音楽関係のTV番組の司会や、ジュリアード音楽院の夜間部教員も務めました。2016年1月1日に74歳で亡くなりました。

映画監督でアカデミー歌曲賞を受賞したジョゼフ・ブルックスは彼の兄にあたります。

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