クレウーサ

クレウーサの概要

クレウーサ（古希: Κρέουσα, ラテン語: Creusa）は、ギリシア神話において非常に重要な女性の名前であり、4人の異なる人物がこの名前を持っています。この名前は「王女」を意味し、それぞれが独自の物語を持つことからも、その背景を知ることはギリシア神話を理解する手助けとなります。

ガイアの娘

最初に紹介するのは、ガイアの娘であるナーイアスのクレウーサです。彼女は河神ペーネイオスとの間に、ラピテース族の王ヒュプセウスと二人の娘スティルベーとダプネーを生みました。ヒュプセウスはアステュアギュイア、キューレーネー、テミストーの父になります。スティルベーはアポローンとの間にラピテースとケンタウロスを生み出しますが、一方でダプネーはアポローンの求愛を拒んで月桂樹に変わるという伝説に残っています。

クレオーンの娘

次に、コリントス王クレオーンの娘であるクレウーサです。彼女はメーデイアと離婚したイアーソーンと結婚しますが、メーデイアは復讐のために呪いを込めた衣裳をクレウーサに送ります。その衣裳は彼女の肉体に焼きつき、脱ぎ捨てようとした瞬間に彼女を焼いてしまうという悲劇が展開されます。この話はアポロドーロスの『ビブリオテーケー』でも触れられており、彼女はこの時「グラウケー」という名でも知られています。

エレクテウスの娘

次のクレウーサはアテナイの王エレクテウスの娘で、母はプラークシテアーという人物です。彼女はケクロプス、パンドーロス、メーティオーン、プロクリス、オーレイテュイア、クトニアーという兄妹を持っています。姉妹たちはアテーナイを守るために戦って亡くなりましたが、クレウーサはまだ幼かったため助かりました。彼女はクスートスと結婚し、2人の息子アカイオスとイオーン、そして娘ディオメーデーをもうけます。エウリーピデースの『イオーン』では、アポローンとの関係が描かれ、イオーンは彼を父として持つ特別な存在として位置づけられています。

プリアモスの娘

最後のクレウーサは、トロイアの王プリアモスの娘で、アイネイアースの妻となります。彼女はアスカニオスの母でもあります。ウェルギリウスの『アエネーイス』によると、彼女はトロイア陥落時に夫や子供たちと共に逃げようとしますが、途中ではぐれてしまい亡くなります。その後、アイネイアースはトロイアに戻り、クレウーサを探す過程で彼女の霊に出会い、新たな土地に向かうよう告げられます。

脚注

このように、クレウーサという名前はギリシア神話の中で多層的な物語を形成しています。各登場人物の物語は、文化や伝承の中で重要な役割を果たしており、それぞれのクレウーサの運命も異なります。これらの物語は、文献を通じて今日まで語り継がれています。

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