グリンドラ党

大インドネシア運動党（グリンドラ党）とは

大インドネシア運動党（Partai Gerakan Indonesia Raya）、通称グリンドラ党（Gerindra）は、インドネシアの国政政党です。その政治的立場はナショナリズムおよび右派ポピュリズムとされています。2014年以降、国民議会（下院）で第三党の地位を確立し、2024年の総選挙では86議席を獲得。党首であるプラボウォ・スビアント元陸軍中将が大統領に就任しました。

歴史

2008年、プラボウォ・スビアント氏を担ぐ政治組織として設立されました。翌2009年の議会選挙で初めて国政に参加し、26議席を獲得。同年の大統領選挙では、プラボウォ氏は闘争民主党のメガワティ・スティアワティ氏を副大統領候補として擁立しましたが、現職のスシロ・バンバン・ユドヨノ氏に敗れました。その後、グリンドラ党は反ユドヨノ政権の立場を取りました。

2014年の議会選挙では73議席を獲得し第三党に躍進。プラボウォ氏は国民信託党のハッタ・ラジャサ氏と大統領選挙に出馬しましたが、ジョコ・ウィドド氏に敗北。2019年の総選挙でもプラボウォ氏はサンディアガ・ウノ氏を副大統領候補として再度大統領を目指しましたが、再びジョコ・ウィドド氏に敗れました。しかしその後、グリンドラ党はジョコ政権を支える与党連合に参加し、プラボウォ氏は国防相として入閣。そして2024年、ギブラン・ラカブミン・ラカ氏を副大統領候補として出馬し、ついに大統領の座を手にしました。

プラボウォ氏は2004年の大統領選挙にゴルカルから出馬を目指しましたが、党内指名で最下位に終わりました。その後、ゴルカルの諮問会議委員を経て、2008年2月6日に弟のハシム・ジョヨハディクスモ氏の勧めでグリンドラ党を結成。ハシム氏の資金援助により、テレビ広告を積極的に展開し、スハルト政権時代のイメージを払拭するため、「庶民の味方」というポピュリズム的なイメージを打ち出しました。

2009年の議会選挙では4.5%の得票率で26議席を獲得。2011年には改革の星党 (PBR) を吸収。2014年の議会選挙では得票率が11.8%に跳ね上がり、第三党となりました。この背景には、ポピュリズム戦略に加え、弱小政党の吸収や退役軍人を通じた有力者の取り込みがありました。2014年8月28日にスハルディ総議長が死去し、9月20日にプラボウォ氏が後任に就任しました。

2019年の総選挙では、プラボウォ氏とジョコ・ウィドド氏の一騎打ちとなり、またも敗北。しかし、選挙後にジョコ氏と和解し、与党連合に加わりました。

主張・イデオロギー

グリンドラ党は、パンチャシラと1945年憲法を基盤としつつ、ナショナリズム、ポピュリズム、宗教、社会正義を党のアイデンティティとしています。党内外からはナショナリスト政党、あるいは宗教包括主義的ナショナリスト政党と見なされることもあります。政治的立場は右翼、または右派ポピュリズムとされています。

同党は、自由民主主義を批判し、インドネシアの文化に沿った民主主義を標榜。パンチャシラと憲法に基づいた強力なリーダーシップを国家が発揮すべきと主張しています。経済面では、自由主義経済を批判し、国家による経済介入の強化、対外債務の抑制、国有企業の民営化反対、外国企業優遇法の見直しなどを訴えています。対外的には、自由市場経済を拒否し、保護経済を支持しています。

対外政策においては、プラボウォ氏は中国やインドとの関係強化、西側諸国との距離を置く意向を示唆。ロシアとウクライナの戦争に関しても、住民投票による和平案を提案しましたが、ウクライナ側に拒否されています。また、2022年1月には、イスラエルとの国交正常化に含みを持たせる発言も行っています。

選挙結果

国民議会選挙、大統領選挙の結果は以下の通りです。

(選挙結果の表は省略)

グリンドラ党は、インドネシア政治において重要な役割を果たしており、今後の動向が注目されます。

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