グレートディヴァイディング山脈

グレートディヴァイディング山脈：オーストラリアを分ける大山脈

グレートディヴァイディング山脈は、オーストラリア大陸の東海岸沿いに3,500km以上も連なる、世界で4番目に長い山脈です。クイーンズランド州北東端のダウアン島から、ニューサウスウェールズ州東部を通り、ビクトリア州へと西に延び、グランピアンズへと続いています。別名、大分水嶺山脈、東部高地とも呼ばれます。

概要

グレートディヴァイディング山脈は、約3億年以上前の石炭紀に、オーストラリア大陸が南米大陸やニュージーランドと衝突した際に形成されたと考えられています。長い年月を経て浸食が進み、現在では険しい山塊が連なる地形となっています。主稜線は明確ではなく、複数の枝尾根、台地、高地、崖などで構成されているのが特徴です。この地形区分はEast Australian Cordillera（東部オーストラリア大山脈）と呼ばれています。

山脈に吹き付ける貿易風は、大量の雨をもたらし、山脈を境に東部・西部・北部へと河川を分けています。東部の河川は太平洋へ、南部のマレー川・ダーリング川は西へ、北部の河川はカーペンタリア湾へと流れます。この分水嶺は、オーストラリアの地域、気候帯を分ける境界線としての役割も果たしています。

歴史

元々、この山脈はアボリジニの人々の居住地でした。彼らが残した洞窟の装飾や、海岸地帯と内陸地帯を結ぶ移動に使われたキャンプ地跡などが、その証拠として残っています。

1788年以降のヨーロッパ人による入植は、この山脈によって妨げられました。標高はそれほど高くはないものの、起伏に富んだ地形が、入植者たちの進出を阻んだのです。1813年、グレゴリー・ブラックスランド探検隊が、シドニーからブルーマウンテン山地を経由してバサーストへ至るルートを発見しました。この発見が、ニューサウスウェールズ州内陸部の農業発展のきっかけとなります。

その後も、アラン・カニンガム、ジョン・オクスリー、ハミルトン・ヒューム、ルドヴィヒ・ライヒハート、トーマス・ミッチェルらによって探検が進められ、1830年代後半までには、山脈沿いの肥沃な牧草地が開拓されていきました。ギップスランド地域やリバーリナ地域、リバープル・プレインズ、ダーリング・ダウンズなどがその例です。

現在では、道路や鉄道が山脈の各地に建設されていますが、依然として多くの地域が人里離れたまま残されています。

地形

グレートディヴァイディング山脈は、比較的なだらかで湿潤な高地であり、農業や畜産業が盛んな地域が多く存在します。アサートン高原、ダーリング・ダウンズ、ノーザン・テーブルランド、サザン・ハイランド、サザン・テーブルランドなどがその代表例です。一方で、起伏が激しい高地は林業に利用されたり、国立公園として保護されたりしています。

オーストラリア大陸の最高峰であるコジアスコ山（標高2,228メートル）をはじめ、標高の高い地域は、ほぼ全てこの山脈の一部です。ニューサウスウェールズ州南部からビクトリア州東部にかけての高地は、オーストラリアアルプス山脈として知られています。

山脈の中心部には多くの山頂が点在し、周囲には様々な山脈、山脚、渓谷、平原が広がっています。ハイ・プレーンズ、セントラル・ハイランド、ボゴング・ハイ・プレーンズ、アサートン高原、キャンベラ・ワイン地域、サザン・テーブルランドなども、グレートディヴァイディング山脈地域の一部とみなされています。

ダンデノン山脈、バンニャ山地、ブルーマウンテンズ、リバープール山脈、マックパーソン山脈、ムーンビ山脈などは、グレートディヴァイディング山脈を形成する山脈群の一部です。最高峰のコジアスコ山をはじめ、2000m級の山頂もいくつか存在しますが、長い年月を経て浸食が進んだため、多くの山は比較的緩やかな傾斜となっています。

集水域

グレートディヴァイディング山脈は、オーストラリア東部の重要な水源地です。山脈沿いの谷には貯水池が建設され、アッパー・ネピーイン計画、スノーウィーマウンテンズ計画、ワラガンバダム計画など、様々な水供給プロジェクトに利用されています。

山脈は、東へ流れる河川（太平洋、タスマン海へ注ぐ）と、西へ流れる河川（マレー・ダーリング流域、バス海峡へ注ぐ）の分水嶺となっています。東へ流れる河川にはブリスベン川、バーデキン川、クラランス川などがあり、西へ流れる河川にはコンダマイン川、フリンダーズ川、ラックラン川などがあります。

特徴

初期の鉄道技術者たちは、山脈を横断するために、勾配が緩やかな場所を探し求めました。現在では、イプスウィッチ - トゥーンバ線、メイン・ノース線、メイン・ウェスタン線、メイン・サザン線、ノース・イースト線、ベンディゴ線、サービストン線などの旅客鉄道線が、山脈を横断しています。

また、アルプス道、グレート・アルパイン道、ヒューム・ハイウェイ、グレート・ウェスタン・ハイウェイなど、多くの高速道路も山脈を横断しています。

グレートディヴァイディング山脈には、多くの国立公園や保護地域が存在し、貴重な自然が保護されています。

もう一度検索