ケネソー山の戦い

ケネソー山の戦い：南北戦争の激戦地

ケネソー山の戦いは、1864年6月27日にジョージア州コブ郡で起きた南北戦争の重要な戦闘です。北軍のウィリアム・シャーマン少将が、南軍のジョセフ・ジョンストン将軍が率いるテネシー軍に対して正面攻撃を敢行しました。この戦闘は、アトランタ方面作戦における重要な局面であり、その後の戦局を大きく左右することとなりました。

戦闘の背景

1864年3月、北軍のユリシーズ・グラントが総司令官に就任し、南軍への多方面からの同時攻撃を計画しました。この戦略の鍵となったのは、ジョージ・ミード少将のポトマック軍によるリッチモンド攻略作戦と、ウィリアム・シャーマン少将のミシシッピ方面軍によるアトランタ進軍作戦でした。

特にアトランタは、南軍の重要な補給拠点であり、鉄道網の中心地であったため、戦略的に重要な目標とされていました。シャーマンの任務は、「ジョンストン軍を破壊し、南部の戦争資源を可能な限り損害を与えること」でした。北軍は、シャーマン率いる約10万の兵力を擁しており、対する南軍は、ジョンストン率いる約5万の兵力でした。

アトランタ方面作戦の開始

1864年5月7日、シャーマン軍はチャタヌーガを出発し、アトランタを目指して進撃を開始しました。当初、シャーマンはジョンストン軍の側面を突く作戦を繰り返し、南軍は堅固な陣地から後退を余儀なくされました。しかし、両軍とも大きな損害を出すことはありませんでした。

約2ヶ月の進軍の後、シャーマン軍はケネソー山に到達しました。ここは標高550メートルの要塞化された高地であり、これまでの戦術が通用しないと考えたシャーマンは、大規模な正面攻撃を決定しました。

ケネソー山の戦いの詳細

6月27日、シャーマン軍はケネソー山に対して攻撃を開始しました。ジェイムズ・マクファーソン少将のテネシー軍がケネソー山の北端で陽動を行い、ジョン・A・ローガン少将の軍団がピジョンヒルを攻撃しました。さらに、ジョージ・ヘンリー・トーマス少将のカンバーランド軍が南軍前線の中央、チーザムヒルに猛攻を仕掛けました。

しかし、これらの攻撃は南軍の激しい抵抗に遭い、大きな損害を出して撃退されました。特に、ピジョンヒルとチーザムヒルでの戦闘は激戦となり、多くの兵士が命を落としました。

一方で、ジョン・マカリスター・スコフィールド少将のオハイオ軍が南軍の左翼を脅かす陽動作戦に成功しました。これにより、南軍はケネソー山を放棄し、アトランタ近郊へと撤退せざるを得なくなりました。

戦いの結果と影響

ケネソー山の戦いにおける北軍の損失は約3,000名、南軍の損失は約1,000名でした。戦術的には南軍が勝利したものの、戦略的には北軍が有利な状況を作り出すことに成功しました。

この戦いの後、ジョンストン将軍はテネシー軍の指揮を解任され、ジョン・ベル・フッド将軍が後任となりました。アトランタの防衛はより困難な状況となり、最終的にはシャーマン軍がアトランタを占領することになります。このアトランタ陥落は、リンカーン大統領の再選にも大きく貢献しました。

シャーマンは、この戦いで正面攻撃の限界を悟り、それ以降は側面攻撃による作戦を重視するようになりました。ケネソー山の戦いは、戦術的には北軍の敗北となりましたが、その後のアトランタ方面作戦の転換点となった重要な戦いでした。

戦場跡と大衆文化

現在のケネソー山は、ケネソー山国立戦場跡公園として保存されており、当時の塹壕や射撃壕が今も残っています。

また、メジャーリーグベースボールの初代コミッショナーであるケネソー・マウンテン・ランディス判事は、このケネソー山にちなんで名付けられました。

ケネソー山の戦いは、南北戦争における重要な戦いの一つであり、その後のアメリカの歴史に大きな影響を与えました。この戦いを理解することは、アメリカの歴史をより深く理解する上で不可欠です。

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