ケビン・フォン・エリック

ケビン・フォン・エリック。その名は、プロレス史に燦然と輝くフォン・エリック・ファミリーの一員として、多くのファンに知られています。1957年生まれの彼は、伝説のレスラー「鉄の爪」フリッツ・フォン・エリックを父に持ち、兄弟と共に、プロレス界に大きな足跡を残しました。フォン・エリック兄弟の中でも、彼は独特のスタイルで知られていました。それは、シューズを履かず、素足で闘うというスタイルです。

ノース・テキサス大学でアメリカンフットボール選手として活躍した後、1976年、彼はプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせます。父の主宰するNWAビッグタイム・レスリング（後のWCCW）で経験を積み、1978年にはブルーザー・ブロディからNWAアメリカン・ヘビー級王座を奪取する快挙を成し遂げます。その後も、セントルイス地区などでも活躍し、1979年にはミズーリ・ヘビー級王座を獲得。NWA世界王座への挑戦権を手中に収めますが、惜しくもケン・パテラに敗れます。

1979年には、弟のデビッドと共に全日本プロレスに初来日。1981年の再来日時には、大熊元司＆グレート小鹿組からアジアタッグ王座を奪取するなど、日本でもその名を轟かせます。しかし、このタイトル防衛は短命に終わりました。

アメリカではWCCWを主戦場とし、1980年代前半には、弟のデビッドやケリーと共に、ファビュラス・フリーバーズやダイナミック・デュオといった強豪チームと激闘を繰り広げます。1985年には、WCCWと提携した新日本プロレスに参戦。藤波辰巳＆木村健吾組とWWFインターナショナル・タッグ王座を争うなど、国際的な活躍もみせました。

WCCW（WCWA）では、1986年にブラック・バートを破り、WCWA世界ヘビー級王座を獲得。アル・マドリル、ジョン・ノード、キング・パーソンズといった強豪たちとの防衛戦を繰り返し、ブッカー業務も兼任していました。しかし、WWFの全米侵攻によるテリトリー制の崩壊と共に、1980年代末にはセミリタイア。1995年に引退します。

引退後はハワイのカウアイ島に移住し、家族と共に静かな生活を送りました。プロレス界からは完全に離れていた彼でしたが、2009年には、父や兄弟と共にWWE殿堂入りを果たします。式典では、かつて激闘を繰り広げたフリーバーズのマイケル・ヘイズが彼を紹介するという、プロレス界のドラマチックな一面を見せつけました。

2011年には、息子であるロス・フォン・エリックとマーシャル・フォン・エリックのプロレスリング・ノア入団が発表され、ケビン自身も約24年ぶりに来日。入団会見には息子たちと共に登場し、GHC管理委員に就任するなど、再びプロレス界にその存在感を示しました。

ケビン・フォン・エリックの得意技は、アイアンクロー、旋回式ダイビング・ボディ・アタック、ドロップキック、ボディ・シザーズなど。数々のタイトルを獲得し、アメリカのみならず日本でも活躍した彼のキャリアは、まさに伝説と言えるでしょう。WWE殿堂入りという栄誉は、彼のプロレス界における貢献の大きさを証明しています。彼の功績は、これからもプロレスファンに語り継がれていくことでしょう。

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