ケルアン

ケルアン

概要

チュニジア中部に位置するケルアンは、首都チュニスから南へおよそ160キロメートル離れた歴史ある都市です。2003年時点では約15万人が暮らしており、ケルアン県の県都となっています。この都市の名称はアラビア語に由来し、「キャンプ」や「キャラバン」といった意味を含んでいます。

語源

「ケルアン」（ٱلْقَيْرَوَان al-Qayrawān）の名は、アラビア語で「軍事集団」や「キャラバン」を意味する言葉に由来します。これは、元々中期ペルシア語のkārawānから借用されたものと考えられています。かつてはベルベル語でTikirwanとも呼ばれていました。

歴史

ケルアンの歴史は、西暦670年頃にアラブの将軍ウクバ・イブン・ナーフィウが軍事駐屯地として建設したことに始まります。ベルベル人の監視と海からの攻撃回避のため、内陸の地に設けられました。都市はすぐに発展しましたが、イブン・ナーフィウは建設後まもなく亡くなっています。

その後、ケルアンは北アフリカにおけるイスラームの中心地となり、特にその後4世紀にわたり主要な聖地、「北アフリカのマッカ」と称されるようになりました。9世紀にはアグラブ朝の中心として繁栄しましたが、11世紀中頃にファーティマ朝の侵攻により徹底的に破壊され、かつての重要性を失いました。政治的な中心はマフディーヤへ、そして後にチュニスへと移り、ケルアンが再びその役割を担うことはありませんでした。

1881年にフランス軍が占領して以降、非イスラーム教徒も立ち入りが可能となりました。

宗教

ケルアンは多くのイスラーム教徒にとって非常に重要な聖地です。マッカ、マディーナに次ぐ聖都と見なされ、マグリブ地方では第一の聖地と位置づけられています。市内には多くのモスクがあり、信仰の中心となっています。かつては非イスラーム教徒の立ち入りが制限されていましたが、現在は可能です。多くの巡礼者が訪れます。中世初期にはユダヤ教徒のコミュニティも存在しました。

世界遺産

ケルアンは、その豊かな歴史と文化遺産が評価され、ユネスコの世界遺産に登録されています。これは、人類の創造性、文化交流、消滅した文明の証拠、伝統的な集落、信仰との関連性など、複数の基準を満たしたことによるものです。

見所

ケルアンの主要な見所の一つは、メディナ（旧市街）にある活気あるスーク（市場）です。ここでは伝統的な絨毯や陶器、革製品などが売られています。現代のケルアンでは、他の主要都市と同様に、観光業が重要な収入源となっています。もう一つの重要な見所はグランド・モスクで、市内最古のモスクの一つであり、古代の建築材を転用した列柱などが見られます。

雑学

ケルアンは、zlebiaやmakroudhといった伝統的な練り菓子で有名です。また、映画『レイダース 失われたアーク』の一部撮影地としても知られています。

姉妹都市

ケルアンは以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

• - フェズ（モロッコ）
• - トレムセン（アルジェリア）
• - コルドバ（スペイン）
• - カイロ（エジプト）
• - サマルカンド（ウズベキスタン）
• - トンブクトゥ（マリ）
• - ブルサ（トルコ）

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