ゲオルギオス・パパンドレウ

ゲオルギオス・パパンドレウ：激動の時代を駆け抜けたギリシャの政治家

ゲオルギオス・パパンドレウ（1888年2月13日 - 1968年11月1日）は、20世紀のギリシャ政治において重要な役割を果たした政治家です。彼は3度にわたりギリシャ首相を務め、激動の時代に国を導きました。

生涯

パパンドレウは、1888年にギリシャ南部のアハイア県で生まれました。青年時代から自由党の指導者エレフテリオス・ヴェニゼロスの支持者として政治活動に関わり、そのキャリアをスタートさせました。彼はポーランド人のソフィア・ミネイコと結婚し、1919年には長男アンドレアスが誕生しています。

第一次世界大戦中、パパンドレウはヴェニゼロスの最も親しい支持者の一人として、親独派のコンスタンティノス1世国王に対抗しました。ヴェニゼロスがアテネを離れることを余儀なくされた際、パパンドレウは彼に同行し、反王制の支持者動員に奔走しました。1921年には暗殺未遂にも遭遇しています。

1923年、パパンドレウはヴェニゼロス派の下院議員として政界入りし、内務大臣に就任しました。その後、第二共和政時代には文部大臣など、複数の政府役職を歴任し、ギリシャの学校組織改革に尽力しました。1935年にはギリシア民主社会党を結党しますが、翌年には王党派の独裁者イオアニス・メタクサスによって追放されてしまいます。

第二次世界大戦中、ギリシャはドイツに占領されます。パパンドレウは、エジプトを拠点とする亡命政権に参加し、1944年から1945年にかけて首相を務めました。ギリシャ内戦においては、共産党を民主主義に対する脅威とみなし、1946年から1952年にかけて複数の内閣で要職を担いました。

1950年代後半、パパンドレウは保守党に対抗し、1961年には中道連盟を結成して自由主義勢力を再編しました。1963年と1964年の選挙で勝利し、首相に返り咲きますが、保守派からの抵抗も根強く、政治は不安定でした。また、キプロス紛争においては、ギリシャ軍部隊を派遣する決断を下しています。

国王コンスタンディノス2世は、パパンドレウ政権に公然と反対し、軍部の陰謀も重なり、政権は徐々に弱体化。1965年7月、国王はパパンドレウを首相から罷免し、中道連盟は分裂しました。1967年4月、ゲオルギオス・パパドプロスによる軍事クーデターが発生し、パパンドレウは逮捕され、自宅軟禁状態に置かれます。そして1968年11月、自宅で息を引き取りました。彼の葬儀は、大規模な反独裁運動へと発展しました。

ゲオルギオス・パパンドレウは、その生涯において「大ゲオルギオス・パパンドレウ」と呼ばれることはありませんでしたが、軍事政権時代や死後には「民主主義の親方」として、その功績が称えられました。彼の孫であるゲオルギオス・アンドレアス・パパンドレウも政界に進出し、祖父の遺志を継いでいます。

ゲオルギオス・パパンドレウは、激動の20世紀ギリシャにおいて、民主主義を守り抜いた政治家として、その名を歴史に刻んでいます。

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