ゲーリー・ハート (プロレスラー)

プレイボーイ・ゲーリー・ハート：プロレス史に名を刻んだ敏腕マネージャーの生涯

ゲーリー・リチャード・ウィリアムズ、リングネームで知られるプレイボーイ・ゲーリー・ハート（1942年1月24日-2008年3月16日）は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身のプロレスラー、マネージャー、そしてブッカーとして、20世紀後半のプロレス界に多大な影響を与えた伝説的な人物である。卓越した話術とプロレス界における深い知識、そして類まれな戦略眼を武器に、数々のスターレスラーを育成し、興行の成功に貢献した。

華麗なるレスラーとしてのキャリア

1962年、ゲーリー・ハートはプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせた。イリノイ州を拠点に五大湖周辺の中西部地区を転戦し、着実に経験を積んでいく。1965年から1966年には覆面レスラー、ザ・ステューデントとタッグを組み、フレッド・カリーやジノ・ブリットといった当時の名レスラーたちと対戦した。

その後、テキサス州ダラスのNWAビッグタイム・レスリング（後のワールド・クラス・チャンピオンシップ・レスリング/WCCW）へと活躍の場を移す。ザ・スポイラーとのタッグチームを結成し、マネージャー兼レスラーとして活躍。1967年と1968年には、NWAアメリカン・タッグ王座を2度獲得するという輝かしい戦績を残した。ワフー・マクダニエルやミル・マスカラスといったトップスターとも対戦し、高い人気を獲得していった。

ヒールマネージャーとしての才能開花

レスラーとしての活動と並行して、ゲーリー・ハートは持ち前の弁才を活かし、ヒール（悪役）マネージャーとしての才能を開花させていった。1971年から1972年にはノース・アンド・サウスカロライナのミッドアトランティック地区で、リップ・ホーク＆スウェード・ハンセンのブロンド・ボンバーズを担当。ネルソン・ロイヤル＆ポール・ジョーンズの牧童コンビとの抗争を巧みに演出した。

1973年には再びダラスに戻り、その後フロリダのCWFへと活躍の場を移す。ここでは極道ヒール時代のダスティ・ローデスのマネージャーを務め、1974年5月にはローデスとの仲間割れを演出。この出来事がローデスのベビーフェイス（正義役）転向、そしてアメリカンドリームの誕生という一大アングルへと繋がっていく重要な役割を果たした。

その後、新日本プロレスからアメリカ遠征に来ていたストロング小林やジャイアント馬場をマネジメント。CWFではレスラーとしても活動を継続していたが、1975年2月20日、飛行機事故に遭い現役引退を余儀なくされた。

ブッカーとしての成功とレジェンドへの道

マネージャーに専念するようになったゲーリー・ハートだったが、1979年には古巣のダラス地区でブッカー業務も担当し始める。1981年にはザ・グレート・カブキをプロデュース、後のペイントレスラーブームの先駆けとなる存在に育て上げた。1980年代にはカブキの専任マネージャーとしてNWA他地区にも参戦し、ジム・バーネットの主宰するジョージアのGCWではロディ・パイパーとも同盟を結んだ。

WCCWではフォン・エリック兄弟とファビュラス・フリーバーズによる抗争劇などをプロデュースし、団体の隆盛に貢献。自身も悪徳マネージャー同士の抗争を繰り広げるなど、リング内外で存在感を示し続けた。

1988年にはWCCWを離れ、ジム・クロケット・プロモーションズ、そしてWCWへと移籍。ここでは「グレート・カブキの息子」という設定のグレート・ムタのマネージャーを務め、テリー・ファンクとのタッグチーム「J・テックス」を結成。リック・フレアー＆スティングといったトップチームとの抗争を指揮した。

1990年代前半にはダラスの新団体で活動し、1999年にフルタイムのプロレスビジネスから引退。2004年にはMLWに登場しマネージャー業を再開した。2008年3月16日、心臓病のため死去。没後、自伝が出版され、2016年にはNWA殿堂、2020年にはWWE殿堂のレガシー部門入りを果たした。

数々のスターレスラーを輩出した功績

ゲーリー・ハートは、ザ・グレート・カブキやザ・グレート・ムタをはじめ、多くのレスラーをマネージメントしてきた。日本人や東洋系のレスラーとの関わりが多く、彼らの成功に大きく貢献した。彼のマネージメントを受けたレスラーは、世界的に活躍するスター選手へと成長していった。

プレイボーイ・ゲーリー・ハートの遺産

レスラー、マネージャー、ブッカーとして、プロレス界に計り知れない貢献をしたゲーリー・ハート。その卓越した手腕、カリスマ性、そして人脈は、現代のプロレス界にも大きな影響を与え続けている。彼の功績は、プロレス史に永遠に刻まれるだろう。

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