コガネアジ

コガネアジ (Flavocaranx bajad)

概要

コガネアジは、スズキ目アジ科に位置する海水魚で、主にインド太平洋の亜熱帯地域で見られます。特に、沿岸の岩礁やサンゴ礁に生息し、最大で55cmに達することもありますが、一般的には42cm未満の個体が多く観察されます。
橙から黄色の斑点が特徴で、識別には鰭条や稜鱗の数を考慮する必要があります。

分類と命名

コガネアジは、2022年にヨロイアジ属から独立したコガネアジ属に移されました。1775年にスウェーデンの博物学者ペール・フォルスコールによって初めて記載され、その種小名はアラビア語に由来します。 その後、本種は数回で異なる学名で再命名されてきました。最終的には現在の名前（Flavocaranx bajad）が確立され、多くの旧名は無効とされています。

形態

コガネアジは、典型的な幅広の楕円形状を持ち、背部が腹部よりもややふくらんでいます。体色は銀灰色から真鍮色で、腹部はより明るい銀色を帯びています。また、体側には明確な橙色から黄色の斑点があり、他種との区別に役立っています。
この魚は、背鰭と臀鰭の構造が特徴的で、臀鰭の一部は頭部の長さよりも短いです。

生息域

コガネアジはインド洋と西太平洋の熱帯・亜熱帯の沿岸域に分布しています。特に紅海、アデン湾、ペルシャ湾などでよく見られます。日本では、希少な種として沖縄県や宮崎県からの捕獲が報告されています。また、2005年には地中海での捕獲もあり、スエズ運河を通過した可能性を示唆されています。

生態

コガネアジは肉食性で、小魚や甲殻類を捕食します。性成熟には全長約24.7cmに達し、ペルシャ湾では主な産卵期が6月から9月とされています。成長率は季節によって変動し、特に11月から4月が成長が早い時期とされています。また、寄生虫による影響も報告されており、エジプトでは2.2%の個体がアニサキス科の寄生虫を持っていました。

人間との関係

コガネアジは多様な漁法により漁獲されますが、一般的には混獲によるものが多いです。ただし、ペルシャ湾南部では主要な漁獲対象魚となっており、年間約1100トンが獲れています。 UAEでは、漁業が発展しているにもかかわらず、持続可能なレベルで漁獲されており、食用魚としても人気があります。

コガネアジはその美しい体色と生態的特性から、観光業や研究にも資する貴重な存在となっています。

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