コニアシアン

コニアシアン

コニアシアン（英語: Coniacian）は、後期白亜紀の時代区分の一つであり、約8980万年前から8630万年前までの期間を指します。地質学において重要な意味を持つこの時代について解説します。

地質学的な定義

「コニアス階」「コニアシアン階」という言葉は、地層を区分するための層序名であり、時代そのものを指すものではありません。時代を示す「コニアス期」「コニアシアン期」と対をなす関係にあります。

環境

コニアシアン期には、海洋無酸素事変（OAE3）が発生した可能性が指摘されています。これは、海洋中の酸素濃度が著しく低下し、生物の大量絶滅を引き起こした現象です。また、前期コニアシアンでは、二枚貝の一種であるディディモティスが大量に産出する「ディディモティス・イベント」が起きました。ディディモティスは、通常の底生動物化石が見られない黒色泥岩中に多く産出します。

日本におけるコニアシアン

日本の北海道の蝦夷層群でも、ディディモティス・イベントと同様の現象が確認できます。ここでは、黄鉄鉱や保存状態の良い黒色砂岩の葉理も見られます。

ただし、北海道の古丹別地域では、同時期の地層から有機炭素や黄鉄鉱の産出が少ないことがわかっています。このことから、当時は酸素濃度が低い状態ではあったものの、完全な無酸素環境ではなかったと考えられています。また、泥岩が非硫化的な環境で堆積したこと、ストーム起源の堆積層と層状構造をなすことから、貧酸素と富酸素の状態が周期的に繰り返されていたと推測されています。

日本における地層と化石

日本では、北海道空知管内三笠地域に、チューロニアンとコニアシアンの境界を特定できる地層が存在します。奔別川周辺で行われた調査により、アンモナイトやイノセラムスの化石記録、緑色砂岩層などを基に境界が定められています。この緑色砂岩層の基底が境界とされています。

古丹別地域からは、コニアシアンの暗灰色泥岩からイノセラムスなどの大型化石が少数産出します。芦別市に分布する蝦夷層群羽幌川層は後期コニアシアンにあたり、板鰓亜綱の魚類化石や二枚貝化石が見つかっています。2016年には、ティラノサウルス上科の尾椎化石が発見され、当時の日本にティラノサウルス上科の恐竜が広く分布していた可能性が示唆されました。同様のティラノサウルス上科の化石は、福島県に分布するコニアシアンの地層からも産出しています。

コニアシアンの生物

コニアシアンの地層からは、様々な生物の化石が発見されています。

アンモナイト
鳥脚類
竜脚類
首長竜
* 獣脚類

これらの化石は、当時の生態系を解明する上で貴重な情報源となっています。

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