ゴルゴンゾーラ (企業)

ゴルゴンゾーラ：無料着メロ配信サイトの先駆け

「ゴルゴンゾーラ」は、2004年 5月1日に着メロ職人ゴンゾーによって開設された、日本の携帯電話向け着信メロディ配信サイトです。ヤマハ株式会社と株式会社レイドが共同で運営し、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアに対応していました。このサイトは、当時としては珍しい無料のモバイルサイトとして登場し、広告収入による独自のビジネスモデルを確立し、業界の注目を集めました。

概要

ゴルゴンゾーラは、従来のキャリア公式サイトが主流だった時代に、ユーザーが無料で利用できる「勝手サイト」として誕生しました。サイトの企画・制作は、レイドのクリエイター「ゴンゾー」が中心となって行われ、サイトの略称も「ゴンゾー」として親しまれていました。初代プロデューサーはヤマハの瀬戸優樹が務めました。

このサイトが革新的だったのは、それまで有料が当たり前だった着メロを無料で提供した点です。これにより、中高生を中心に口コミで急速に会員数を伸ばし、無料モバイルサイトの先駆けとして、その後のモバイルビジネスに大きな影響を与えました。

DeNAの守安功氏やモバゲータウン（現・Mobage）の畑村匡章氏も、ゴルゴンゾーラのビジネスモデルを参考にしたと公言しており、gumiの國光宏尚氏も自身のブログでそのビジネスモデルを分析しています。また、ドワンゴも対抗サイトとして「イカスミ」を立ち上げるなど、業界内でも大きな話題となりました。

2005年 5月末には、日本の携帯電話向け着メロサイトとして初めて会員数100万人を達成し、翌年には130万人を突破。そのうち8割が10代という若年層に支持されていました。最大延べ会員数は300万人を超え、2007年には携帯電話を持つ中高生の5人に1人が利用する、日本最大級の着メロサイトに成長しました。

多様な展開

ゴルゴンゾーラは、着メロ配信だけでなく、姉妹サイトとして着うたサイト「ゴルゴンゾーラZ」やSNSサイト「ゴンゾーピザ」を展開しました。また、FM Nack5との連動で音楽番組「ゴンゾーラジオ」を放送したり、携帯発の音楽レーベル「ゴルゴンゾーラレーベル」を立ち上げたりと、メディアミックスも積極的に行いました。

しかし、2013年 7月末にサービスを終了し、その後は着うたサイト「ゴンゾー★Z」に一部機能が引き継がれました。

主なメニュー

ゴルゴンゾーラでは、無料会員登録をすると、初回に10ポイントが付与され、ポイントを使ってコンテンツをダウンロードできました。

- 着うた：50ポイント
- メドレー着メロ：30ポイント
- 着メロ、Flash、ゲーム、デコレーションメールひな形：10ポイント
- 歌詞：無料

ポイントは、広告メールをクリックしたり、友達をサイトに紹介することで追加できました。他にも様々な特別企画が用意されていました。

MUSIC MENU

- 新曲を聴け！：新曲着メロを週1回更新
- 俺のテレビ版：ドラマやアニメの着メロを毎日更新
- 最新人気30曲RANK：24時間以内のダウンロード数上位30曲をランキング形式で掲載
- アーティスト一覧：着メロや歌詞を取り扱っているアーティストの一覧
- ゴンゾー課外授業：ユニット「ZEN」がボイスパーカッションを紹介

GONZO MENU1

- ゴンラジ：ゴンゾーラジオとの連動ページ
- ゴンゾーゲームセンター：Flashゲームを10ポイントでダウンロード可能（全国ランキング機能付き）
- ゴルゴン桜：リクルートとのコラボ企画で受験生を応援
- ゴンゾー天気予報＆星占い☆an：気象庁の予報と占い館「塔里木」の占いを毎日更新
- ゴンゾー☆デコメ：デコレーションメールのひな形を10ポイントでダウンロード
- ゴンゾーの部屋：ゴンゾーの日記（SNS「ゴンゾーピザ」を利用）
- はたらくオレたち☆an：アルバイト体験談を毎日更新

ビジネスモデル

2000年代初頭のモバイルサイトは、キャリアのポータルサイトに掲載される公式サイトが主流で、コンテンツ利用料を携帯電話料金と一緒に徴収するのが一般的でした。しかし、ゴルゴンゾーラは、広告収入によって無料でのサービス提供を実現しました。

当時のモバイル広告は単価が低く、収益化が難しいと考えられていましたが、ゴルゴンゾーラは、着メロを無料で提供することで中高生を中心に口コミで会員を増やし、広告メールのクリックでポイントを付与する独自のシステムを構築しました。これにより、会員は広告を閲覧することでコンテンツを入手できるという、相互にメリットのある仕組みが完成しました。

会員に送られるメールマガジンに掲載された広告のCTR（クリック率）は平均43.2%と非常に高く、アクティブユーザー率も高水準でした。広告の内容も出会い系や消費者金融など、未成年者に不適切なものを排除し、ローソン、コカ・コーラ、ロート製薬、講談社、ナイキなどの大手企業を広告主として獲得し、モバイル広告市場の開拓に貢献しました。

このビジネスモデルは総務省によって通信プラットフォームのあり方として紹介されるなど、業界内外で高く評価されました。

ゴルゴンゾーラレーベル

2007年2月には、ヤマハが携帯電話発のレーベル「ゴルゴンゾーラレーベル」を立ち上げました。これは、一般ユーザーが携帯電話からアーティストを発掘・デビューさせるという画期的な取り組みで、当時の音楽業界に大きな影響を与えました。この後、ユニバーサルミュージック、インデックス、ソニーミュージック、TOKYO FMなどが同様のレーベルや企画を立ち上げるきっかけとなりました。

しかし、同年6月には、このレーベル事業は株式会社ヤマハエーアンドアールに継承され、レーベル自体は消滅しました。なお、ゴルゴンゾーラ自体は株式会社ヤマハミュージックメディアに継承されています。

レーベル主宰の瀬戸優樹氏は、このレーベルで得たユーザー発の音楽発信の仕組みを、後にVOCALOIDのプロデュースに活かしています。また、VOCALOIDにおいてヤマハとクリプトン・フューチャー・メディアを結びつけたのも、この着メロ事業がきっかけでした。

まとめ

ゴルゴンゾーラは、無料着メロ配信という新しいビジネスモデルを確立し、モバイル業界に大きな影響を与えた先駆的なサイトです。中高生を中心に多くのユーザーに支持され、様々なメディア展開も行いましたが、2013年にその歴史に幕を閉じました。しかし、その革新的な取り組みは、今日のモバイルビジネスにも大きな教訓を与えています。

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