ゴールドマン・バンド

ゴールドマン・バンド：アメリカ吹奏楽の礎を築いた名門楽団

ゴールドマン・バンドは、20世紀のアメリカ合衆国で活躍した著名な吹奏楽団です。エドウィン・フランコ・ゴールドマンが創設したニューヨーク・ミリタリー・バンドを前身とし、1918年に正式に発足、ニューヨークを拠点に活動を展開しました。

概要

1920年、コロンビア大学で初の演奏会を開催。ゴールドマン自身が選曲・編曲した作品を中心に、J.S.バッハ、ヴィクター・ハーバート、エドワード・マクダウェル、ヨハン・スヴェンセン、アンブロワーズ・トマ、リヒャルト・ワーグナー、カール・ミヒャエル・ツィーラーなど、幅広い作曲家の作品を演奏しました。

ゴールドマン・バンドは、前身のニューヨーク・ミリタリー・バンド時代から数え、93年間にわたりニューヨーク市内の公共の場で無料公演を行いました。その舞台は、コロンビア大学のグリーンズ、セントラル・パーク、プロスペクト・パーク、リンカーンセンターのグッゲンハイム・バンドシェルなど多岐にわたりました。著名な奏者や歌手との共演も積極的に行い、パーシー・グレインジャーやヴィヴィアン・ダンといった著名な音楽家を客演指揮者として迎えました。

レパートリーは、吹奏楽の古典的な作品にとどまらず、新たに作曲された作品も積極的に取り入れました。ゴールドマンは、オットリーノ・レスピーギ、アルベール・ルーセル、ヤロミール・ヴァインベルゲルなど、ヨーロッパの作曲家にも吹奏楽編成の作品を委嘱しています。グッゲンハイム財団からの寄付や著名な音楽家との共演を通じて、ニューヨークでの演奏活動に加え、アメリカやカナダでのツアー、ラジオやテレビへの出演も実現しました。

しかし、1983年にグッゲンハイム財団が寄付の対象を社会問題に絞ったため、バンドへの援助が打ち切られることになります。これにより、ゴールドマン・バンドは新たな資金調達を迫られ、活動期間を7週間に短縮、その間に35回の演奏会を行うこととなりました。

指揮者

1956年にエドウィン・フランコ・ゴールドマンが78歳で亡くなると、息子のリチャード・フランコ・ゴールドマンが後を継いで指揮者に就任しました。リチャードは1979年に辞任し、翌1980年に死去。1968年から共同指揮者を務めていたエインズリー・コックスが、1988年に亡くなるまで首席指揮者を務めました。その後は、ジーン・ヤング（1988〜1997年）、デビッド・イートン（1997〜2000年）、クリスティアン・ウィルヘルム（2000年〜活動停止まで）が指揮者を務めました。

初演作品

数多くの著名な作曲家が、ゴールドマン・バンドのために作品を作曲しています。

1937年夏：パーシー・グレインジャー作曲「リンカンシャーの花束」完全版
1945年6月13日：ダリウス・ミヨー作曲「フランス組曲」
1946年6月27日：アルノルト・シェーンベルク作曲「主題と変奏」（リチャード・フランコ・ゴールドマン指揮）
1947年6月23日：エクトル・ベルリオーズ作曲「葬送と勝利の大交響曲」（200名の合唱とともにアメリカ初演）

編成

1930年から1956年にかけては、以下の64名で編成されていました。

フルート：4
オーボエ：2
クラリネット：19
E♭クラリネット：1
バスクラリネット：1
アルトサクソフォン：2
テナーサクソフォン：1
バリトンサクソフォン：1
バスーン：2
コルネット：4
トランペット：2
ホルン：2
トロンボーン：6
ユーフォニアム：2
チューバ：4
コントラバス：2
ハープ：1
打楽器：3

活動停止

2005年4月、バンドの理事会は団員側の委員会に対し、定数を5名削減して48名とすること（ただし理事会側は現有45名の団員には影響はないと主張）、理事会メンバーから団員を除外すること、出演料を減額することなどの条件を提示しました。委員会は5月22日にこの提示を拒否し、その5日後の5月27日、ゴールドマン・バンドは87年の歴史に幕を下ろしました。

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